4506 「ディン・Q・レ展:明日への記憶」展
先日、森美術館 「ディン・Q・レ展:明日への記憶」展の 招待券をもらったので、六本木ヒルズへ向かった。
ディン・Q・レは、ベトナム生まれのアーチスト。ポル・ポト派の侵攻を逃れるために渡米し、その後、ベトナムと戦争を描き出す作品を発表し続けているという。
ベトナムで最も有名なアーチストと言われる彼の、アジア初個展とのこと。
六本木ヒルズに着いてみると、テレビ朝日のドラえもんのイベント?と、同じく森美術館で開催中の「ガンダム展」のイベントで、かなり混雑していた。

しかし、「ディン・Q・レ展:明日への記憶」展の方は、そうした外の喧噪がウソのような静けさ。

ベトナムの伝統的なゴザ編みをヒントに、写真を裁断してタペストリー状に編んだ作品は、ベトナム戦争と現代が複雑に絡み合った、ベトナムの状況をよく表しているようだった。


「傷ついた遺伝子」という一連の作品は、ベトナムでもタブー視されてきた、結合双生児用の服や玩具だ。
かわいらしい人形の頭や胴体がくっついていたり、ベビー用品も頭が二つあったり…。
もちろん、これらは、ベトナム戦争中にアメリカ軍が散布した枯葉剤を惹起させる作品だ。

印象的だったのは、この展覧会の来場者の多くが外国人だったということだ。
静かな環境で鑑賞できたのはよかったけど、あまりの日本人の少なさが気になった。


おびただしい数の家族写真の海。
そこに沈没しかけた船。
ディン・Q・レ自身も難民だった経験が元になっていることは想像に難くない。
散らばっている写真を1枚拾い、それを箱に入れていくと、それらがアーカイブされ、ネットで公開されるようになっている。
サッカーの試合で国旗を売る自転車。
これだけを見ても、まったく違和感はないが、ディン・Q・レは、スポーツで盛り上がる若者の安直な愛国心に疑問を投げかけている。
