4053 気の利いたひと言でも言えたなら…
それは、昨日の昼食の時にまでさかのぼる。
昼食でよく行く店で会計をしているときのことだ。
この店の若い男性店員が、レジに金額を打ち込みながら、こう言ったのだ。
「いつもありがとうございます。実は、私、今月いっぱいなんですよ。」
彼は、これまで、しょっちゅう店で見かけてきたし、店に入れば、何も言わずにいつもの禁煙席に案内してくれていたから、それなりに顔なじみではある。
でも、ほとんど会話らしい会話をしたことはなく、ほとんど初めてといっていいくらいの会話が、これだった。
それでも、こうして別れの挨拶をしてくれたのだ。
彼の素性は全く分からないのに、いろいろ聞くのも変だなぁ…なんて思いつつ、ほかに言葉も出てこず、僕は、「あぁ!そうなんですね~!」というだけだった。
こういう、とっさの会話は、ちょっと苦手だ。
こんなとき、気の利いた言葉でも言えたらいいのだけど。
落ち着いて考えてみれば、わざわざ辞めるって言ってくれているのだから、「これからどうされるんですか?」くらい聞いてもよかったのかもしれない。
せめて、「いままでありがとう」…くらい言えばよかった…と、今さら、ちょっと後悔している。