3981 自転車で転倒
そしていつものように家を出て、自転車に乗り駅に向かう。
いつものように交差点に差し掛かり、赤信号で止まった。
いつものように止まる…はずだった。
右足を出そうとしたが、なぜか足が地面に着かなかった。
速度を落とした自転車は、足を地面に着かなければ転倒するに決まっている。
「あっ!」
どうすることもできない状態で、僕は、自転車に乗ったまま、右側に横倒しになった。
見慣れた風景を地面から見上げるなんて新鮮!
…なんて思う余裕などあるわけないが、朝から、交差点に転がっているサラリーマンなんて、妙な光景だよなぁ…と、半分冷静な気もしていた。
これはまずいことになった…と、内心焦る。
そこに通りかかった男子高校生。
「大丈夫ですか?」
心配そうに、転がる僕を覗き込んだ。
「だっだっだっ大丈夫」
せっかく声を掛けてくれているのに、冷静さを失っている僕は、どもりながら、冷たい応対してしまった。
ごめんね。
何とか起きあがると、風景が歪んでる。
?
眼鏡の右フレームが、まったく違った方向に向いていた。
さらに、足を見ると、スーツのズボンに穴が…
ボサボサ頭に、曲がった眼鏡、穴の開いたズボン…さすがにこれで会社に行けない。
これじゃコントだ。
会社へは事情を説明するメールを打ち、さっき出てきたばかりの自宅へ帰った。
まずは、曲がった眼鏡のフレームをペンチで直す。そして、別のスーツに着替える。
これほど豪快に転倒してても、その瞬間は、ほとんど痛みを感じないのは不思議だったが、いまは身体を動かすたびに、あちこちが痛む。
よく見ると、顔面や指などに擦り傷を発見。
転倒した際、眼鏡のフレームがクッションとなり、膝、指など分散して地面と接触したせいか、大したケガをしなかったのが幸いだった。
ただ、スーツをダメにしたのもったいなかったけど。
30分あまり遅刻となってしまったが、無事に出社した。
思いがけないことは、やはり思いがけないときに起きるものだ。
皆さまも、どうぞお気を付けて。