森のふしぎな生きもの 変形菌ずかん/川上新一
“変形菌”と聞いて、すぐにイメージできる人は、そういないだろう。
もちろん、僕だってそうだった。
森で多く見かける、腐りかけてる倒木や、落ち葉、枯れ草といったところにすむ変形菌の大きさは、数センチから10センチ程度。色は、さまざま。
思い返せば、森のなかで、ときどき、地面や木に、鮮やかな何かがへばりついているのを見かけることがあった。
一瞬、キノコっぽいけど、カビの一種かな?なんて、勝手に思っていたのは、おそらく、みんな変形菌だったのだろう。
変形菌の最大の特徴…それは、植物やキノコと違って、動物同様、細胞壁がないため、その名の通り、かたちを変えて、動き回る(!)ということだ。
本書では、僕のような、変形菌初心者のために、見つけ方、観察、採取の仕方、標本の作り方といった様々な楽しみ方を紹介している。
標本ってどうやって作るんだろう?と思ったら、しっかり乾燥させて、カビや虫から守ってあげれば、ずっと採取時のまま保たれるという。
たしかに色とりどりで、びっしりと貼り付いたそのさまは、見ようによっては、カビを思わせ、気持ち悪いかもしれない。
動物でも植物でもない、孤高の生き物?…変形菌。
これまで意識して見てこなかったが、これからは、森でそれらしいものを見つけたら、しっかり観察してみようと思う。