青色発光ダイオード/テーミス編集部

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4901331086青色発光ダイオード―日亜化学と若い技術者たちが創った
テーミス編集部

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青色発光ダイオードの発明者とされる中村修二氏が、もともと彼が勤務していた日亜化学工業に対して、発明の対価として200億円を求めて訴えていた裁判で、裁判所がそれを認めたというニュースは、一時期かなり話題になった。

中村氏が大変な苦労をして青色発光ダイオードを発明したにもかかわらず、会社からの評価はわずかばかりで冷遇されてきた。相応の対価として会社は200億円くらいは当然支払うべきだ…というのが、当時の一般的なとうか、マスコミの雰囲気だった気がする。

当時、連日テレビに登場していた中村氏のちょっと甲高い声が今でもすごく強く印象に残っている。「言った者勝ち」でもないけれど、本当に事実はそうなのか? 彼だけが頑張ったのであって、会社やその回りの研究者たちは何もしなかったのか?という疑問は、当時からあった。

もちろん、こんな意見も聞かれた。会社が成功するかどうかわからない研究に対してお金を出しているわけだし、その中で社員は安心して研究を続けられるという状況下にあるのだから、たまたま成功したという発明に対して、その対価を支払えというのはあまりに横暴ではないかという意見もあったが、こちらはあまり声高に聞こえてこなかった。

本書は、訴えられた日亜化学工業側の立場で、青色発光ダイオードが発明に至るまでの詳しい経過をたどりながら、中村氏からの訴えに対する反論が書かれている。

中村氏もかなり感情的な表現が少なくなかったようだが、こちらの本も若干そうした傾向があるような気もした。個人的には日亜化学工業側の主張の方が共感できるのだけれど、意見があまりに偏りすぎてくるのも、ちょっと考え物だし。

いずれにしても、対立した意見がある場合は、必ず両者の意見をきちんと聞く必要があって、その上で判断しないと…と、ごくごく当たり前の感想だけれど。

(2006.7.17) 【★★★★☆】 -06/07/17更新