日本のロゴ/成美堂出版編集部

■芸術・デザイン,龍的図書館

4415302645日本のロゴ―企業・美術館・博物館・老舗…シンボルマークとしての由来と変遷
成美堂出版編集部成美堂出版 2007-08
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こんな由来があったなんて…

ロゴは、その形を一瞬見ただけで、何を指し示しているのかパッとわかる。

場合によっては、企業そのものの社風とか、そこで作られている商品の味すら思い起こすことができる。

とても文章では書ききれないくらいのイメージを、ロゴひとつで表現できるのだから、ロゴに対する思いは強く大きいものになる。

何気なく見て、慣れてしまっているせいで、すーっと目に入ってくるが、目に見えない隠されたさまざまな思いを、ひとつずつ丁寧に解説している。企業ロゴばかりでなく、巻末では美術館や博物館のロゴ、老舗旅館や和菓子の商紋なども紹介している。

また、グリコのゴールインマークや、カルピス、味の素、クールミントガムといった商品デザインの変遷や、アートディレクター佐藤可士和や、インダストリアルデザイナー榮久庵憲司のインタビューや彼等の仕事などを紹介するコーナーもあって、読み物としても楽しめる。

HMV…言わずとしれたCD販売店だが、これは“His Masters Voice”の頭文字から取られたものだという。His Masters Voiceと言えば、ビクターを思い出すが、同じ由来である証拠に、HMVのロゴの前に、、ビクターの犬が聞いているのと同じ蓄音機のシルエットが描かれているのだ。

ただのお化けじゃないよ

SKY PerfecTV!…おなじみ、スカパー!。「テレビが化ける」というキャッチコピーが、このキャラクターの元になったとばかり思っていたら、スカイの「S」と、パーフェクTVの「P」をあわせたものなのだそうだ。そして、なんと目玉にまで意味があった。二つの目玉は2基のCS「通信衛星」を表現したという。

この本で初めて知ったことがいくつもあって、とても楽しかった。この本を読めば、企業のロゴを見る目が変わる。

先述の、インダストリアルデザイナー榮久庵憲司氏のコメントで、ちょっと気になることがあった。彼の作品一覧のなかに、東京に関わりにある人ならばおなじみの東京都のシンボルマークがあった。それはそれでいいのだけど、このデザインについて彼はこんなコメントを書いている。

「東京都」CI計画 1989
この計画では、我々はコンサルタントとして参加し、私は委員会の副委員長を務めました。世界の20社のデザイン会社から募ったのですが、決め手はシンプルで誰でも書けて、応用がしやすい点でした。そしてイチョウのようで、イチョウではない、その曖昧さもポイントです。他の作品はすべて複雑なデザインでした。

東京都のシンボルマークこの東京都のシンボルマークは、榮久庵憲司氏の作品…という前提で、このコメントを見ると妙な印象を受ける。自身はコンサルタントでしょう?主催者に近い立場にありながら、募った作品を落として、自分の作品を選んじゃうというのは、どうしたものだろう? 僕の解釈が間違っているのだろうか?