人を動かす/デール カーネギー Dale Carnegie
創元社
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以前から、自己啓発本の古典として有名…ということは知っていたものの、読む機会はなかった「人を動かす」を、今回、同僚から借りる機会を得た。
「知っていた」といっても、つい最近まで、“鉄鋼王”アンドリュー・カーネギーが書いたと誤解してたくらいだから、ろくに知らないと言ってもいいくらいだった。
アンドリュー・カーネギーも、多くの名言を残しているので、つい誤解していたのだ…というのは、いいわけ。
さて、本書は、タイトルこそ「人を動かす」となっているが、内容としては「人を動かす三原則」「人に好かれる六原則」「人を説得する十二原則」「人を変える九原則」に章が分かれ、さまざまな逸話や事例を交え、著者自身の経験談とともに、人間関係を円滑にするためのコツを紹介している。
読み終えて思ったのは、やはり、何より必要なのは“モチベーション”だということだった。
何か、目指すべき明確な目標なり、夢などがあれば、人をどう動かすか?人とどう接するか?苦難を乗り越え…と思うだろうが、それが存在しない、欠けているとなると、そもそも人を動かす必要はあるの?…というところまで話が戻ってしまう。
本書のなかでリンカーンの引用があった「およそ、人は、幸福になろうとする決心の強さに応じて幸福になれるものだ」
逆に言えば、もし現状に不満があったとしたら、その不満を解消しようと強く決心しているかによって、不満は解消されるわけで、やはり、決心の強さは大事な要素のようだ。
幸福になるにしても、不満を解消するにしても、なにかを変えるということは、大きなパワーがいる。
変えるために、本書で紹介されていることは、決して難しいことばかりでなく、むしろ心がけひとつでも、簡単にできることも少なくない。
しかし、それを継続していくことは、かなり大変なことであり、パワーのいることだと思った。
「人を動かす」というより、「自分がどう動くか?」が問われているのだ。
本書を読んでいて、世界的な大ベストセラーとなったこの本の作者や書かれた経緯について気になっていたところ、あとがきでちょっと触れいていた。
本書は、著者の講演会のための教材が元になっているという。
著者が大学生のころ、異常な劣等感に悩まされ、それを克服するために弁論を研究する。大学卒業後、教師、セールスマン、食肉会社員、行商人、劇団など、さまざまな仕事を経験するが、どれも長続きしなかったという。
そんな彼が、自分にもっとも適した仕事が、弁論だと気づき、弁論術講座を担当する講師となる。
なるほど、目標があれば変われるということを…を地でいく話だ。
自己啓発本の古典ともいうべき本だったので、ちょっと小難しいことが書かれてるのかと思ったが、かなり読みやすく、また何度も読み返したいな・・・と思える本だった。