2950 電気走調機
秩父宮記念スポーツ博物館を見学中、おじゃこが「あれ、見てみて」というので、「どれどれ…」と覗いてみたら、一瞬にして目が釘付けになった。目の前に、得体の知れない機械が展示されていたのだ。
流線型の独特の形。
一体これは…
電気走調機「ペースメーカー」とというのだそうで…。
解説によれば…
電気走調機 ペースメーカー
東京オリンピックに向けて、陸上競技の長距離ランナーのトレーニング用に開発され、1961年からしばらくの間、実際に国立競技場のトラックで用いられた。(制作 東芝)
この機械は、世界記録保持者が走るペースをプログラムした穴あきテープに基づいてコントロールされ、制御室のコーチから走者に指示を出すためのワイヤレス受信機が内蔵されている。
(なお、アンテナは現存していません)
当時の東芝の解説パネルも展示してあった。この中で、この機械のことを“電車”と呼んでいたのが印象的だった。
電車?…この色づかい…既視感があった。
かつて国鉄で走っていた特急電車にそっくりなのだ。
このペースメーカーが作られたのは1961年。東海道新幹線が開通するまで、あと3年。このころ東海道本線には、ビジネス特急こだま号が走っていた。日本で一番速い特急だった。このときに使われていた塗装とそっくりなのだ。これは国鉄特急色として、今でもかろうじて見ることができる。
当時の色づかいは、やはりこの色を参考にしたのではないだろうか?
当時の記録映像を見ててもらった。ただし職員の方は、DVDプレーヤーの操作ができなかったため、「おたく、操作は得意?」とリモコンを渡され、自分で見た。
スタート | |
世界記録のペースに 順調に合わせる選手たち |
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徐々に差を開いていく ペースメーカー |
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ペースメーカー ぶっちぎりのゴール! |
ペースメーカーだけが先にゴールしてる…これじゃ意味ないし…
ビデオは、「選手たちは、ついていくことができなかった…」というオチで終わる。発想は悪くなかったのだろうが、選手の体力向上が優先だったのかもしれない。
約50年の時を経て、こうして実際の機械と対面するというのは、博物館見学の醍醐味だ。