毒キノコが笑ってる/天谷 これ

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毒キノコが笑ってる―シロウトによるシロウトのための実録キノコ狩り入門 毒キノコが笑ってる―シロウトによるシロウトのための実録キノコ狩り入門

山と溪谷社 2003-08-01
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キノコ狩りは独特な世界だと思う。実際、著者の言うとおり、地味だけどれっきとしたアウトドアな趣味…なのに、身近で「キノコ狩り趣味です」と言う人はいない。間違いなくマイナーな世界だ。

でも、ニュースでは度々耳にする気がする。

熊に襲われたり、遭難したり、果ては食中毒になったり…。

考えてみたら、これほど、リスクの高い趣味はないだろう。それでも、根強い人気があるというのは、それだけ魅力があるということだろう。

極めようと思ってもなかなか極められないきのこの見分け方、タイミング計っても計っても裏切られるきのこの収穫。しかもちょっと間違えると、命が危険だったりもする。(中略)旬の味という贅沢と未知の味というスリルとサスペンスがいただける。

なるほど、著者のキノコ狩りに対する思いがよく伝わってくる。

相模湖で見たキノコ
相模湖で見たキノコ

この本では、キノコ狩りに魅せられた著者が、どうやったら、キノコ狩りに興味を持ってもらえるか?を説くとともに、キノコ狩りの大変さやエピソードなどを余すところなく書かれている。

キノコ界王者、マツタケの取れる山では、追ってくる人を巻いたり巻かれたり熾烈な戦いが繰り広げられたり、キノコの歯ごたえがツルリとして風味がいいと「刺身がいいよ」だし、食感が悪く味わいがない場合は「マリネにするとうまいよ」と言われている…など、キノコ狩りを趣味とする人しか知り得ない話がたくさん載っている。

シロウトが考えるキノコ狩りの疑問をイラストも交えて興味深く教えてくれているので、とても楽しく読み通すことができた。

本書のサブタイトルは「シロウトによるシロウトのための実録キノコ狩り入門」 これを読んで、いつか、キノコ狩りに行ってみたいという気もしたが、やはり経験者に一度連れて行ってもらわないと、まだ敷居が高いような気はする。