1625 地震で自信過剰

定点観察

 職場のビルは新しいのに、どうも自分の机の脇を人が歩くと、やたらと揺れるので、最初の頃はいちいちビクビクしていたが、最近ではほとんど動じなくなってきた。

 そういう状況だったから、今日の地震には、ちょっとびっくりだった。

 最初のうちは、いつもの”揺れ”だと思っていたら、いつまで経っても収まらない。こりゃ地震だな…と思っていたら、ますます揺れがひどくなってきた。もしかしてかなり大きいんじゃないか…と不安になってきたところで、ようやく徐々に収まってきた。

 誰もが思いつくように、すぐにインターネットで地震情報を見ようとしたら、画面が固まって動かない。ようやくつながったところで、チェックしてみると、宮城県では震度6弱(東京は震度3~4)にもなっているところもあったので、改めてびっくりした。

 今回の地震で一番印象的だったのが天井が落下した屋内プール。ニュースによると、このプールは、「震度6に耐えられる」という設計になっていたという。

 宮城県南部で震度6弱を記録した地震で、天井が落下してけが人が出た仙台市泉区の屋内プールについて、市環境局が今年6月に建物の構造などを検査した際、「震度6に耐えられる」と結論づけていたことが16日、分かった。現場付近は震度5強だった。

(…中略…)

 地震直後に現場を訪れた東北工業大の田中礼治教授(耐震構造)は「建物自体に問題はないが、揺れで建物全体がねじれたため、つり下げていた天井が落ちたのではないか」と指摘。

 そりゃ「想定を超えた地震が来たら耐えられませんでした」というのも仕方がない。
 けれど、今回のように「建物は問題なくても、建物がねじれたら天井が落ちる」…というのは、あんまり理由になってないような気がする。そんなこと言ったら、「想定では○○だったのに、実際は違うから…」で何でも通ってしまうような気がしてならない。
 建物自体は「震度6でも耐えられ」たのだから、確かに嘘は言ってない。けれど大事なのは、被害を出さないことであって、建物が耐えられるかどうかというのは、その延長線上の話。その途中には、今回のような天井や窓ガラス、後から取り付けられた備品等が、建物内にいる人たちに怪我を負わすことがないかという点も考えるべきなのではないだろうか? まさか震度6でも耐えられるというお墨付きだけで、対策を怠っていたとは思いたくない。

 東京では最近比較的大きな地震が起きてはいるものの、こうした地震による直接被害はあまり多く見かけない気がする。その一方で交通網が分断されるような二次的な被害がとても多い。そのため、意外と地震に対する備えや対応が遅れがちになっているのではないかと危惧している。
 最近地震が多いものの、幸い建物が倒壊したり、大規模な影響を及ぼすような問題があまりなく、影響範囲が限られているために、地震に対する備えや経験は、実は少ないと思う。さらには、意外と自分は大丈夫なんじゃないかと思わせることにつながっているような気がする。まさに自信過剰だ。

 地震という自然災害が、自分の力では何ともならないと痛感したとき、初めて本気で地震対策を考えるのではないかと思った。

Posted by ろん