新説・恐竜/ナショナル ジオグラフィック編
- 新説・恐竜 塗り替えられたその姿と生態 (ナショナル ジオグラフィック別冊) (日経BPムック)
- ナショナル ジオグラフィック編
- 日経ナショナル ジオグラフィック (2023/1/31)
図書館でふと手に取り、気になって読んでしまった。
振り返って思い出してみると、子どものころに知った恐竜の情報と、現在の研究によって解き明かされた恐竜は、まったくと言っていいほど違った存在になっている。
かつてはトカゲの一種みたいなもので、つまりは爬虫類そのものっぽい扱いだったが、現在はそれは完全に否定されて、恐竜の末裔は、鳥類となった。
そういった研究が進んだ背景には、さまざまな研究機器の進化…CTスキャンや、世界最強クラスのX線の導入などによってこれまでわからなかった事実が明らかになっているという。
ある恐竜は頭蓋にオーバーヒートを抑える仕組みがあったとか、恐竜の卵は実はカラフルだったとか、羽毛に色がついていたなど、さまざまなことがわかってきている。
たしかに、鳥が恐竜の子孫だとなれば、身体の色はカラフルもなることは容易に想像がつく。
また本書では、これまであまり自分が気にしてこなかった話も多く出ていて、興味深く読んだ。
たとえば、言われてみれば…と思ったのは、恐竜の情報がなぜか、北米の恐竜に関するものが多いということ。
それはアメリカが古生物学に多額の投資をしてきたからだそうだ。
またモンゴルで国外に流出した恐竜の化石を取り戻す活動をしている人のインタビューもあったが、映画の影響で恐竜は北米のものだと誤解していルモンゴル人もたくさんいるという。
アメリカ人は特に恐竜好きなのかもしれない。
恐竜の化石が高値で取引されたり、一攫千金を狙ったり、「すごい!」と言わせるだけのコレクターが出現したりして、博物館などの研究機関が入手できなくなる恐れもあるようだ。
ただ一方高値で取引されるがゆえに、高く売るために丁寧に発掘されることもあるようで興味深い。
本書で知ったことはいくつかあるが、隕石の衝突だけではなく、大規模な火山群の噴火もあったかもしれないというところも興味深い。
隕石の衝突がきっかけで地球が寒冷化し恐竜が死滅したが、大規模な火山群の噴火による大量のCO2が排出され温暖化が進行した結果、ふたたび地球は生物の暮らしやすい環境に戻ったという。
この火山噴火がなければ、恐竜の死滅だけで終わってしまい、その後の地球でこれだけの生命の繁栄することはなかったかもしれない。
いまの自分は、奇跡の積み重ねによって生かされているのかもしれない…なんて思ってしまった。