5137 デザインの解剖展

博物館・展覧会,芸術・デザイン

これまで行列に並んでまでは…と思って、何度となく挫折してきたものの、来週会期末となってしまうため、意を決して?今週も、東京ミッドタウンにある、21_21 DESIGN SIGHTで開催中の「デザインの解剖展」 へやってきた。

到着してみるとやっぱり行列ができていたが、もしかすると、メンバーシップだと、ある程度優先的に入れるのではないか?と思い、入口にやって来ると、その旨が書いてあった…。

遠くからしか見てなかったから気づかなかったのだ…嗚呼…。

「デザインの解剖」とは…

①身近なものを
②デザインの視点で
③外側から内側に向かって
④細かく分析することで
⑤ものを通して世界を見る
⑥プロジェクト

…だそう。
冒頭からかなりの長文の解説…。

見た目の雰囲気からして、あまりこうした文章に得意ではなさそうな若い女性(失礼)も、熱心に読んでいた様子が印象的だった。

巨大な「写ルンです」や、リカちゃんが頭蓋骨になったときの姿など、見たこともないような展示が興味深かった。

「明治チョコスナック、きのこの山」「明治ミルクチョコレート」「明治ブルガリアヨーグルト」「明治エッセルスーパーカップ」「明治おいしい牛乳」の5つの製品を徹底的に”解剖”していく。

まずは、「きのこの山」

パッケージに書かれた文字や背景を、立体的にしたらどうなるか?みたいなことや…

 

きのこの山vs.たけのこの里のバトル、製品のコンセプトや形状、歴史や製造工程、もちろんそのデザインにいたるまで、あらゆることが解剖されていた。

大勢のお客さんで賑わっている。

そして、詳細な解説のために、どうしても読むのに時間が掛かってしまう。

でも、決してそれは苦痛でもなんでもなく、面白い。

 

明治ミルクチョコレートも、巨大なオブジェが置かれ、徹底的な解剖が行われていた。

続いては、明治エッセルスーパーカップ。

そして、最後は、明治おいしい牛乳。

パックの上にある切り欠きが、視覚障害者向けにつけられていたとは知らなかった。

エントランスのところにミュージアムショップがある。

展覧会に関連した商品が販売されていたが、もっとも関連している明治の5つの製品はなかった。

もし、きのこの山だけでも置かれていたら、きっと飛ぶように売れたはずなのに、もったいない…。

デザインというものが、できあがった製品の色や形だけでなく、その製品が自分の目の前にやってきた、過程も含めて、そのすべてなのだということがわかる。

展示の最後に書かれていた、本展覧会のディレクターである佐藤卓のメッセージが印象的だった。

大人は、言葉(=概念)が蓋をしてしまって、「これはこういうものである」という思い込みで、物事に接してしまうことが多くあるという。

そして、「知っている」と思ってしまったものを、さらに知りたいとは思わない。

たしかにその通りだ。

ちょっと長いが引用すると…。

デザインの解剖は、ご覧いただいたように展覧会でもありますが、一番持って帰っていただきたいものは、実はデザインを通して世界を見るという「方法」であり「OS」なのです。このような視点を標準装備しておくと、あらゆる物事が興味の窓になります。実は、この視点は、子供の時には誰にでも備わっていたものです。つまり人は、そもそも概念がないという状態から育ちます。それが大人になるに従ってあらゆるものを概念化していきます。

表に出たら、来たときと比べて、遥かに長い行列になっていて、びっくりした。

長い行列にびっくりしているうちに、どこかで見たことのある人とすれ違った。

茂木健一郎だった。このあと展覧会で開催される対談に参加するためにやってきたようだ。

Posted by ろん