ダムを愛する者たちへ/阿久根 寿紀 宮島 咲 琉 神馬 シン
もう、タイトルからして、詩的な雰囲気漂っている。
楽、喜、死、素…と、各章のタイトルだけを見たら、これが日本のダムを紹介する本だとは思えない。
さらに、各ダムを紹介する見出しも、青、塞、射…といった特徴を捉えた漢字1文字を見出しにしている。
こうした独特な表現や、ボリュームのある解説、ダムが映える写真など、4人の著者たちのダム愛がひしひしと伝わってくる。
誰もが知ってるようなメジャーなダムはあまりなくて、どちらかと言えば渋く、そしていかにも"玄人好み"?といった36のダムが紹介されているあたりからも、中級者から上級者向けといった感じ。
もちろん初心者も楽しめるが、基本的な知識を持っていた方がより楽しめそう。
ちょっと興味深かったのは、3編にわたって書かれているコラムは「ダムの顔」について…だ。
ダムの特徴を示す「顔」…ここでは、下流側からダムを捉えた姿…を、さまざまない切り口から、滔々と語られている。
この「顔」というものの考え方…って、そういえば、鉄道車両でも同じように意識するよなぁ…と思い出した。
ダムばかりではなく「○○を愛する」…というのは、どこか根っこの部分で共通しているんだなぁ…と感じた。