4522 さようなら…ホテルオークラ東京 本館
建替が決まったホテルオークラ東京 本館が、明日をもって営業を終了するという。
もう見られなくなる…ということで、見学に行ってきた。
何度かイベントなどで訪れたことはあるが、建物や内部の意匠をじっくりと見たことがなかったので、今日が最後のチャンスとなった。
建物は、それなりの年月を経てくたびれた感じは否めなかったが、エントランスを入ると、ところどころに感じさせる古さが、むしろ落ち着いた感じを醸し出していい。
メインロビーの脇に、NHKが取材している旨の掲示があった。
どこで取材してるんだろう?と思ったら、すぐ近くでやっていた。
座り心地もいい。
適度に間隔も空いていて、相席になってしまう場合でも、躊躇なく座れる感じ。
見上げれば、あらゆるところに配慮の行き届いた装飾が施されている。
ゆったりと座りながら、こうした光景を見ていると、いろいろな理由があるにせよ、やっぱり、取り壊し…ってもったいないなぁ…と、思えてしまう。
取り壊し前の最後の日曜日。大勢の来訪者でロビーは賑やかだった。
父親のデジタル一眼カメラを借りたのか、小さな子供までも、あちこちにシャッターを向けていた。
目にするものすべてが被写体になってしまう。
ずらりと並ぶ電話コーナーなどは、もちろん過去の光景となっていくだろう。世界地図と世界時計も、ここまで凝ったものもなくなっていくだろう。
目に映るものすべてが、気になる被写体となってしまうが、トイレと廊下の目隠しとなる仕切りにもデザインが施されている。
なかでも、すごい!…と思ったのは、あらゆる意匠が統一されているということだった。
階段の踊り場にある照明は、独特な六角形…
それを、ぼんやり記憶していると、あちこちに同じ形を発見できる。
ビックリしたのは、火災報知器のランプも…写真じゃわかりにくいけど、通常は円形のところ、これも六角形になっていた。
本館の開業は、1962年。おそらく当時のままと思われる案内で使われているフォントも、時代を感じさせる。
NHKの撮影は、定点撮影もやってるみたいで、カメラが、メインロビーに向けられて設置されていた。
ホテル内を散策してみる。当然のことながら、客室もフロントも用事はなかったなぁ…。
駐車場の入り口に「オークラ公園」と書かれた地図があったので、それに沿って、歩いてみた。
公園というよりも、ちょっとした通路みたいな感じだったが、うっそうとした感じの緑は、歩いていて楽しい。
歩いた先は宴会場の入口だった。
ここは1階で、先程のメインロビーは5階になるそうで、けっこうな高低差がある。
こちらは、先ほどとはまた違った意匠が施され、四角?が多いイメージ。
今日の宴会場でのイベントは、「グランドフィナーレレセプション」だった。
ショッピングアーケードや、レストランが並ぶあたりは、ロビーや宴会場の意匠とは、またちょっと違った感じになっていた。
あまり目立ってはいないけど、凝っているなぁ…と、感じさせるところは随所にあった。
ホテル内のショッピングアーケードは、閉店セールが行われて、お客さんでいっぱいだった。
レストランにも長い行列ができていた。
これだけじっくり鑑賞するのは、今日が最初で最後となってしまった。
新しく立て直されるホテルは、いったいどんな姿を見せてくれるだろうか。
でも、これらが取り壊されるのは、本当に惜しい。