4469 ”影響が発生するとは限らない”
「影響が発生するとは限らない」
この言葉を聞いてふつうはどう考えるだろう?
僕なら「影響はある」という前提を意識してしまう。
実は、この表現、総務省が、携帯電話の電波が医療機器に対して、実際には影響を及ぼさないにもかかわらず、患者の不安を生んでいるとの指摘から、それを和らげる表現を盛り込んだものらしい。
しかし、先述のような「影響が発生するとは限らない」では、かえって逆効果のような気がしてならない。
たしかに、一部の機器では、携帯が3センチまで近づくと誤作動などがあった…ということだったが、実際は、携帯の電波を断続的に最大出力で、医療機器の感度も最大にした条件で行われており「現実では起こりえない」のだ。
「日常生活で携帯電波が医療機器の不具合を起こした例は報告がない。患者の不安を生むだけで弊害の方が大きい」との指摘もあったそうだが、「影響が発生するとは限らない」では、伝わらないと思う。
逆に言えば、「発生しないとも限らない」とも読みとれるからだ。
もちろん、可能性を考えたら、いくらでも、どんなことでも起きてしまう。
だからこそ、携帯電話が医療機器に影響を及ぼし、実際に不具合が起きた事例が1件もないということがすごく大事なメッセージだと思う。
指針案にはそういった状況をふまえた表現にしてほしかった。
じゃあどんな表現がいいのか?…ということになるが…たとえば…
「影響が発生するとは考えにくい」
くらいだったらどうだろう?
誰もがスマートフォンをいじっている奇妙な光景に違和感を覚えつつも、誤った認識が広まっている違和感も、大きな問題だと思っている。
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