4337 日本人拘束に思う

社会・政治・事件

“イスラム国”で起きた日本人2人が拘束され身代金要求されている件は、何とも妙な展開を見せている。

拘束されたのは、自身の民間軍事会社の実績作りで訪問したといわれる湯川氏と、紛争取材経験が豊富なジャーナリストとして知られ湯川氏を助けるために向かったとされる後藤氏。

湯川氏は昨年行方が分からなくなっていたにもかかわらず、消息を絶って以降あまり報道されることなく、今回身代金の要求があったあとも、後藤氏ばかり取り上げられているのは、そうした背景もあるような気がする。

この問題に対して“自己責任”という声が多く聞かれる。

ジャーナリストでも人道支援でもない人は論外だけど、外務省や現地のシリア人ガイドまで「行かない方がいい」と止めていても、それでも行ってしまったということに対して、自己責任という考え方は、決して不適切ではないように思う。

大量に作られたコラ画像多くの人たち(特にネットにおいて)そうした考えが根底にあるせいか、身代金を要求する動画をおもしろおかしく加工する“ISISクソコラグランプリ”が流行している。

世界も、日本で、まさかこうした反応が起きるとは思ってもみなかったようだし、なにより、イスラム国側も戸惑っているようだ。

そしてさらに…今日行われた後藤氏の母親の記者会見の内容は、多くの人々の理解の範囲を超えるものだった。

息子の妻に対しては「昨日、その奥さんと名乗る方と初めて電話で交信いたしました…」といった表現をしたり、自分の息子のことについてはメモを見ながら話す一方で、原子力や原爆の話、憲法九条の話などは、正面を向いて堂々と話し、最後には、地球の平和のため頑張る…と笑顔で締めくくる…。

まさかこんな記者会見になると誰が想像できただろうか?

この事件…あらゆることが、常識を越えている。

もしも…

やむにやまれぬ事情や人道支援のために訪れた日本人が不本意な形で拘束されたら…

実の母が、「地球の平和のため頑張る」と笑顔ではなく、「息子を救って」と号泣していたとしたら…。

自己責任…なんて言われることもなかっただろうし、こんなコラも作られることはなかっただろうし、もしかすると、「彼らを救え!」と署名活動とかデモとかが起きたかもしれない。

今回の事件、あらゆることが常識を逸しているために、冷静さを欠いてしまってる感がある。

もし、そのとき初めて、日本が試されるときなのかもしれない…と思った。

Posted by ろん