4336 そして誰もいなくなった…ホタル
板橋区に、ホタルの飼育施設(Web魚拓によるキャッシュ)がある。
ここでは卵から代々繁殖させたホタルが飼育されていることで知られ、ホタルの飛び回る季節になると一般公開される。
僕も、十数年ほど前に行ったことがあるが、とても綺麗だったのを思い出す。

いずれまた行ってみたいとは思っていたのだけど、混雑がイヤだったので、ずっと行けずじまいだった。
そのホタル飼育施設を思い出したのは、ホタルの季節ではなく、去年の春だった。
この飼育施設のホタルは、代々繁殖させたものではなく、外部から持ち込まれたのではないか?という疑惑が浮上したのだ。
そんな疑惑があったこともすっかり忘れていたが、昨日、板橋区が調査報告書を発表した。
それによると、一昨年には2万匹いたとされるホタルは、去年の調査の段階で発見された数はわずか200匹あまりだったという。
そもそも、この施設の規模から見て、ここに2万匹もいるということ事態、不自然という指摘もあった。
報告書には調査に行った板橋区の部長と施設のボランティアとの生々しい会話の要旨も載っていた。
・部長 「どれぐらいの大きさなんですか。」
・ボランティア 「1mm くらい」(中略)
・部長 「今頃は一般的に 1cm ぐらいに育っていないと羽化できない。」
・部長 「それにしても、あなたが言うように、たとえ 1mm であったとしても、今、まさしく行っているこの調査(仕分け)で全く発見できない現実を、あなたはどう思いますか。おかしいと思わないですか。」
・ボランティア 「・・・・・。」
さらに、調査によれば、福島県大熊町から譲り受けたものを代々交配させてきたはずなのに、ホタルのDNAを調べた結果、本来、西日本に生息するものがほとんどだったという。
また、ホタルが外部から持ち込まれていたという証言の裏付けるような証拠も出てきている。たびたび宅配便で「花」が送られてきたというが、その配送伝票もチェックされた。
伝票に記載されていた品名は当然「花」なのだが、なかには、こんな記述もあった。
花
ホタル
これじゃ、もはやコントだ。
この施設は、オープン当初から一人の板橋区職員が飼育を担当していたという。
このような事態に陥った原因は、彼が専門家だから…と、実に、20年以上もの間、ずっと外部からのチェックを受けなかったことによると思う。
そういった意味では、個人の問題もさることながら、板橋区にも大きな責任がある。
身近でホタルが見られるユニークな施設だっただけに、ちょっと残念。
十数年ほど前に僕が見たホタルたち…この時点で、すでにここで育ったのではなく、単に宅配便で送られたものだったのだろうか?