3861 土管の中を走るリニアと割り切った駅

社会・政治・事件,鉄道

いまから14年後の開通を目指している、リニア中央新幹線でこんなニュースが伝えられてきた。

リニア新幹線、車窓の光景は“最悪”?富士山など夢の夢…沿線自治体ブーイング、ひたすら“土管”の中

JR東海が平成39年の開業(東京-名古屋間。 名古屋-大阪間は57年)をめざすリニア中央新幹線で、地上走行区間の軌道を「土管」のようにコンクリート製の防音フードですっぽり覆う計画に、 沿線の自治体から不満の声が噴出している。
(中略)
「下水道管という感じ」 横内正明・山梨県知事は、防音フード計画を酷評する。

 

最高時速500kmで走行するリニア新幹線の騒音はどうしても大きくなる。従来の新幹線がスピードアップできない理由のひとつが、騒音問題だ。

そのため、リニア新幹線の出した答えが、地上走行区間はすべて、コンクリート製フードで覆うということだった。

地元はこれに反発したのだ。 肝心なリニア新幹線が見えないし、地元の景色も見えないじゃないか…と。

地元の言い分も分からなくはない。

けれど、リニア中央新幹線のそもそもの目的は、東京と名古屋、大阪を最短時間で結ぶことである。

景色を見せるのは目的ではない。また、その目的のために騒音をまき散らすことも許されない。

その結果、“土管の中”を走ることになるのは当然の帰結だろう。

この話には伏線があった。

リニア新幹線沿線の各県に1つずつ駅が設置されることになっているが、当初、建設費はJR東海が負担するか?、地元が負担するか?と揉めたものの、結局、JR東海が全額負担することに決まった。

そして、JR東海から出てきた駅の案が、すごかった。

従来の新幹線の駅とは、似ても似つかぬ、徹底的に切り詰められた姿だった。

割り切ろうと思えば、ここまで割り切れるのだ。

まず、駅の出入口は1カ所だけ。切符売り場も、待合室もなく、あるのはトイレのみ。駅に入ったら、エレベーターやエスカレーターで直接ホームへ…。

リニア新幹線には、自由席車がなく、乗車券は事前に予約する方式のため、切符を販売するスペースも不要と考えられた。

ここまで割り切られると思わなかったか、山梨県知事は、「駅に待合所はあるべきだ」という主張も飛び出すも、JRは譲る気はないらしい。

なぜなら、JRが全額負担するからだ。必要と思うのなら、必要と思う者が作ればよいという考5えだ。

このリニア新幹線の目的を達成するためには、できるだけコストを掛けないようにすべきなのも当然の話だ。立派なリニア新幹線ができても、赤字では意味がない。

僕は、つい鉄道会社側に肩入れしてしまうのだけど、どう考えてもJR東海側に合理性がある。

どうも、地元首長の発言は、自分たちは利益を享受するけど、負担は企業に押し付けようとしてる…そんなふうに見えてならない…というと言いすぎかな。

押しつけるのではなく、むしろ、自治体側がうまく“利用してやろう”くらいの気概であってほしい。

Posted by ろん