4207 “にっかつ”の思い出
新橋のガード下にあった映画館が閉館になるという。
サラリーマンの街の高架下にある新橋文化・ロマン劇場が31日、半世紀の歴史に幕を下ろす。旧作映画を2本立てで上映する名画座。かつては「にっかつロマンポルノ」専門館としても知られた。閉館はJRの耐震工事がきっかけだという。
旧作映画を主体に上映する映画館である“名画座”は、全国的にその数を減らしているそうだが、それよりもさらに、数が減っていると思われるのは、ロマンポルノの上映館だろう。
ロマン劇場の前に貼られたポスターは、新橋の猥雑さをより一層強調していたような気がする。
“にっかつ”といえば、かつて、実家のある川越にも、映画館“川越にっかつ”があった。
しかも、この“川越にっかつ”へ、中学生にして行ったことがある。
その映画は…ロマンポルノではなく、小松左京原作の「首都消失」。
首都東京が謎の雲に覆われて日本中がパニックに陥ってしまうという話。
どういうわけだか、どうしても見たくなって、友人を誘って見に行ったのだ。
親や親戚ではなく、友人と一緒に見に行った初めての映画となった。
なぜ、ここで一般向け映画を上映していたのか、今となってはちょっと謎だ。
ドキドキしながら見に行った翌年、にっかつはロマンポルノの製作を終了し、川越にっかつも、いつの間にか閉館した。
閉館してかなり経つが、なぜか廃屋として今でも残っているようだ。
こうした映画館は、堂々と目立つ存在になり得ることはないけど、その界隈の独特の雰囲気も消えてなくなり、ますます、他と変わらない均一化した街になってしまう気がする。
わずかでも、街の変化する前の様子を覚えていられたことは、よかったと思うが、やっぱり寂しい気がする。