3956 吾妻渓谷
1ヶ月ほどくらい前、どこかへ紅葉を見に行こうと思っていた。
具体的にどこへ…という場所は決まっていなかったが、探していたのは、列車でせいぜい2~3時間程度で行けて、駅からバスなどの手段を使わず、すぐに歩ける遊歩道がある場所。
そして連休中、見頃なところ。
その結果、群馬県の吾妻渓谷(あがつまけいこく)へ行くことにした。
吾妻渓谷は、群馬県東吾妻町や長野原町を流れる吾妻川にある渓谷で、「八丁暗がり」と呼ばれるあたりは、国指定名勝となっており、もちろん紅葉の名所としても知られる。
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また、ここが、あの八ッ場ダムの建設予定地であり、完成すれば一部が水没してしまうということも、ちょっと気になったし、興味が湧いてきた。
吾妻渓谷へは、まずは高崎駅へ。
そこから吾妻線に乗り換え、川原湯温泉駅で下車。
やはりこの時期は、紅葉を見に来た観光客の姿が多い。もちろん自分たちもそうだけど。 川原湯温泉駅は、吾妻線唯一の木造駅舎。
この時期だからこそ、こんなに賑わっているものの、群馬県ではもっとも乗降客の少ない駅らしい。
吾妻渓谷の遊歩道は駅からすぐ。
車窓からは、多少は紅葉が進んでいる感じがしたのだけど、遊歩道を歩いてみると、それほどでもなく、ちょっと早かったかもしれない…。
今がちょうど見頃ということだったのだけど、実際の状況はやはり来てみなければ、わからないのだ。
遊歩道とはいうものの、意外とアップダウンが激しく、また一部はかなり滑りやすくなっていて、ちょっとした登山道といった雰囲気だった。
“色付いた感”があまりなかったのは、黄色が主体の“紅葉”のせいだろうか?
見晴台にやって来た。
景色はいいけど、やっぱり紅葉はいまひとつ。
川原湯温泉駅を出発した、特急草津が上野に向けて走っていく姿が見えた。
!?
一瞬、誰かに見られているような感覚があったので、よく見ると…
ふたたび遊歩道へ。
ところどころの木の隙間から、なかなかいい景色が見られた。
遊歩道として整備されている距離はそれほど長くなく、2km30分ほど歩いたところでおしまい。
あとは国道沿いの歩道を歩いて、川原湯温泉駅に向かうことになる。
鹿飛橋からの眺めはとても良かった。
でももうちょっと赤く紅葉してくれたらなぁ…
国道沿いに出ると、ちょっと赤い葉も見られるようになった。葉だけ見れば遊歩道より見応えのある紅葉が多い気がする。
ここから、駅とは反対方向の国道沿い、ちょっと歩いたところに、日本でもっとも短いトンネルという「樽沢隧道」があるので見に行ってみる。
看板もあってすぐにわかった。
たしかに短いのだけど、トンネルの脇に木があって、7mとしかないトンネルの短さがわかりにくかった。
やはり列車が通り抜けているのを見なくては… 列車の本数が少ないので、簡単には見られないし、写真にも収められない。
列車を待っていると、カメラを持った男性から「電車が来るんですか?」と尋ねられる。
「来た!」
僕の心を代弁するように、その男性が響きわたるような声で叫んだ。
なんとか、トンネルを通り抜ける列車の姿を写真に収めることができた。
今日は紅葉はちょっと残念だったが、本数が少ないながらも、吾妻線の姿はたくさん見られたので、それはそれでよかった。
紅葉より、吾妻線より、気になった風景があった。それは、八ッ場ダムだ。
つづく