3911 挨拶という名の報復
特定を避けるために詳細な説明は避けるが、近所に住むある中年男性。
よく見掛けることもあって、当然挨拶をするのだけど、彼はけっして挨拶をしない。
子供や多感な若者ならいざ知らず、僕より年上のいい大人が、挨拶のひとつもできずにどうかしている…と思う。
以前も書いたことがあるかもしれないが、彼には僕がどう映っ
ているのだろう?
ふだんなら無視されても気にしないようにしていたが、この日は、僕はちょっとイライラしていた。
「こんばんは」
「 ・ ・ ・ 」
すれ違いに挨拶をするものの、毎度のように無視されると、無性に腹が立ってしまった。
「こ・ん・ば・ん・はー」
僕は、すれ違った後の、彼の“背中”に対して、言葉を掛けたのだ。
冷静になって考えると、これは、もはや挨拶ではなかった。
苛立った僕の、挨拶という名の報復に過ぎなかった。
これでは、挨拶を返さないのとレベルは一緒である。むしろ、感情をあらわにしただけ、非常にみっともない。
今後も、無視を気にせず挨拶すべきか、僕も無視すればいいのか、彼とすれ違いそうになると、つまらない葛藤が続きそうだ。