3738 どこに向かっての発言か?
柔道オリンピック代表監督とコーチが、選手に対して体罰?暴力?を振るっていた問題。
選手たちからの再三の訴えにも関わらず、全日本柔道連盟は、指導陣の入れ替えについて「監督は深く反省しており、現時点では考えていない」との方針を示して、物議を醸した。
今日になって、監督が進退伺いを連盟に出したことから、このまま辞任することになるだろうが、今回の問題ですごく気になったことがあった。
それは、柔道界の“顔”とも言うべき、金メダリストたちの発言だ。
山下泰裕氏(朝日新聞)
私自身は指導者に恵まれた。選手時代に殴られたことは一度もない。恩師たちの姿勢は、私の生き方にも影響を与えた。私の教え子にも、思いは引き継がれているはずだ。
谷亮子氏(産経新聞)
谷氏の現役時代には、園田監督を含め歴代の指導者からの暴力行為は一切なかったと説明。情報収集のため園田監督から直接、話を聞く意向も明らかにした。
金メダルに近い位置にいたくらいだから、世界で一番柔道が強いわけで、監督に暴力を振るわれる筋合いもないのかもしれない。
実際に暴力は振るわれなかったとしよう。
では、彼らが、他の選手への体罰や暴力について、一切、見聞きすることはなかったと言い切れるのか?
もし、知っていたとしたら、見て見ぬふりをしてきたという点で、連盟と同じ責任があると思う。
金メダリストで、今でも注目を集める彼らは、大勢いる選手の中の一人とは違うし、責任は重いはず。
自分が体罰を受けなかったからと言って、それで彼らが免罪されるわけではないと思う。
彼らが声を上げることこそが、柔道界が変わるきっかけになるはずなのに、おそらく恩師たちに慮って(おもんぱかって)るのだろうなぁ…と思えて、とても残念な気分がする。
柔道の発展に向かって発言するか?、保身や身内に向かって発言するのか? まさに、試されているといっても過言ではない。