スポーツ心理学者が教える「働く意味」の見つけ方/杉浦 健
近代セールス社
よりよい人生にしたい。もっとやる気を出したい…と思いから、つい、人生論とかハウツー本を手にしてしまう。
そのたびに、裏切られるか、まぁ多少は参考になるかなぁ…の、2パターンのオチが待っている。
こういった本では、モチベーション・やる気を持ち続けている人ばかりが登場。 いつの間にやら、結局は「とにかく頑張れ」となってしまう。
そりゃ頑張るのは分かるが、もうちょっと理屈で説明して欲しいと思っていた。
この本も、あまり期待しないで読み始めたのだが、これまでにない内容で、少し自分の考えが整理された気がする。
著者は、スポーツ心理学の研究者。
スポーツでよい成果を出すためには、テクニックや不安を解消させるよりも、そもそも自分がなぜ、何のために競技しているのかという、スポーツをするにあたっての根本的な問いに答えられるようになることがずっと大事だということがわかったという。
スポーツを続ける意味、哲学を各自が持っている人、これを見つけられた人こそが、自分の力を発揮して成果を出せる。
スポーツで「勝つために、勝つ以上に価値のあるものを目指す」
これは、ビジネスの分野でも同じなのだそうだ。
たとえば、セールスマンであれば、セールスの意味、働く意味を明確になっている人たちが、よい結果を出す。
自分の売っているモノが、人の役に立つ、自分の利益にも、相手の利益にもなるようなセールスの意味を見い出せれば、何も売れないときにやりがいを失うことがない。
スポーツで、勝つことだけを目指すのではないという点は、ビジネスにおいて、お金だけを目標にしてはダメということにも通じる。
ずっと、働く意味って何だろうと思い続けてきたが、本書では、ズバリ、こう指摘している。
働く意味はあるものではなく、創り出すもの
なるほど…
スタートもゴールも自分で決める。
つまずきや迷いもマイナスにはならない。
行動すること、それ自体が意味とやる気をもたらす。
自分の働く意味は何だろうと言うことを問いながら、一生懸命働くこと。
働く意味はすぐに明らかにしなければならないものではなく、いつかあるとき、きっと見つかるだろうと考えながら進むことで、まずは、先に進めることが大事。
論理立てた話の展開は、あまのじゃくの僕にも、参考になった。