もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら/岩崎 夏海

■ビジネス・経済,龍的図書館

もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだらダイヤモンド社 2009-12-04
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野球部のマネージャーになった女子高生、朝倉南ならぬ、川島みなみ。

マネジャー=マネジメントということで、本屋で紹介された本が、ピーター・ドラッカーの「マネジメント」だった!という、なんとも突飛なお話だ。

甲子園初出場という無理難題を掲げたみなみが、偶然手にした“マネジメント”を読み下し、それをひとつひとつ実践していくことで実現に近づいていく。

「んなことはないだろう!」…というツッコミはあるかもしれないが、マネジメントの名著を頼りに、甲子園初出場という目標に向かっていく姿は、多少強引なところもあるが、それなりに面白く、軽快な文体もあって、さらりと読むことができた。

さすがにドラッカーの原本はもちろん、従来の抄訳本だって、こうはいかないだろう。まさかドラッカーも、こんな萌え系の?イラストのある解説本が出るなんて思ってもみなかったはず。

たしかに突飛な組み合わせのような気もするが、難しい話を“たとえ話”で置き換えることは、ごくごく当たり前のようにしていることだ。これを連続して、筋道の立った物語にしていっただけとも言える。評価は分かれているようだが、入門書としては、とても読みやすく、こうした切り口はとても効果的だと思う。

著者が経営学の専門家ではなく、このドラッカーのマネジメントを読んで感動したことがきっかけで、この本を書いたというだけあって、とてもわかりやすい。

経験を積んだ社会人であれば、ある程度理解できることでも、高校生や大学生などの若者にとって、経営学とはなかなか理解しにくいことかもしれない。その点、この本では、身近な高校野球という組織を例にしているため、幅広い年齢層の人たちにも読んでもらえる。

ちょっと気にとめた言葉を抜き出しておく。

企業の目的と使命を定義するとき、出発点は一つしかない。顧客である。顧客よって事業は定義される。(本書p.35、マネジメントp.23)

真のマーケティング「現実、欲求、価値からのスタート」(本書p.59)

専門家は専門用語を使いがちである。専門用語なしでは話せない。ところが、彼らは理解してもらってこそ初めて有効な存在となる。(本書p.93、マネジメントp.125)

本当は、この本をきっかけに原本を読むようであればいいのだろうが、やっぱりそれは敷居が高いなぁ…