なぜクジラは座礁するのか/森下 丈二

■いきもの,龍的図書館

4309251560 なぜクジラは座礁するのか?―「反捕鯨」の悲劇
森下 丈二

河出書房新社 2002-03
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 鯨の肉が給食に出ていたことを知る世代というのは、もう二十歳代半ば以降しかいないんじゃないだろうか?特段ものすごい美味しい…という感じはしなかったけど、最後に食べたときのことは、なぜか不思議と覚えていて「もう食べられなくなるかもしれないんだよね」なんて話した記憶がある。確か中学生だったような気がする(このあたりの記憶は曖昧なんだけど)さて、本書では、反捕鯨団体の主張に対する矛盾や、クジラの過剰な保護はクジラにとっても人間にとっても悲劇を生むということをわかりやすく紹介している。とかく自然保護団体のアピールはわかりやすく受け入れやすいので、何も無理して鯨を捕らなくても…なんていう漠然とした思いを抱かせてしまうが、捕鯨に関する対立にはもっと重要な意味があるということがよくわかる。一部の種類のクジラでは、過剰な保護により増加の一途をたどり、生態系が崩れかけてしまっているのに、反捕鯨諸国や団体は、それらに目をつぶっているというのだ。反捕鯨団体として名指しされているグリンピースの主張を見ても意見は真っ向から対立している。同じ質問内容でもどこかすれ違っている主張は、この問題の根の深さを実感させられる。ただひとつ言えることは、久しぶりに鯨を食べてみたくなったということだ。

(2004/11/01) 【★★★★☆】 -04/11/14更新