3210 フェルメール<地理学者>とオランダフランドル絵画展
久しぶりに渋谷に行った。
連休初日ということもあってか、それとも普段変わらず…なのか、ものすごい人の数。
人にぶつからずに前に進むのが至難の業…と言っても過言ではないくらいだった。
今日は、Bunkamuraで開催されている、「フェルメール<地理学者>とオランダフランドル絵画展」を見にやってきた。
実は、フェルメールのことは詳しくは知らないのだけれど、以前も彼の展覧会に行ったこともあって関心はある。
そういう人が多いせいか、この展覧会も人気があるようで、昨日来場者数が10万人を突破したというニュース(キャッシュ)があった。
11時過ぎくらいに入場してみると、すでにかなりの人出で絵の前には人だかりができていた。
一番最初に目を引いたのは、これ。「ネズミのダンス」。
見れば見るほど、不思議な雰囲気を醸し出している。
ネズミたちの後ろに得体の知れない顔らしきものが見えるが、これは机の脚だそうで、なぜか“イルカ”と紹介されていた。元々1枚の絵だったものを切り出されたという。「猫が家の外にいるとネズミが机の上でダンスを踊る」という、古いオランダのことわざを表現しているそうだ。
見えないところできっと彼らは踊ってるに違いない。それにしても楽しそう。
「ネズミのダンス」 |
「画家と読みものをする女性、掃除をする召使いのいる室内」(ピーテル・ヤンセンス・エーリンハ)というやたら長いタイトルの作品。
絵の中には3人登場しているのに誰一人こちらを見ていないせいで、特定の場所に注目することがない。そのため、いろいろなところをまじまじと見てしまう…みたいなことを音声ガイド(ナレーターは佐々木蔵之介)で紹介していた。
フェルメールと同時期に活躍したという作家の作品ということで、当然ながら影響は受けたのだろう。光の反射具合が絶妙。窓から入った光が壁と床に当たり、それに反射した光に照らされて、さらに椅子の陰ができている。
正面にある鏡に床の模様が写っていたり、奥の部屋にいる画家のさらにその奥にあるガラスに彼の姿が映し出されていたり…と、見ていて飽きない。
「画家と読みものをする女性、掃除をする召使いのいる室内」 |
そして、大トリ?の、フェルメール「地理学者」。フェルメール展といっても、彼の作品はこれただひとつ。彼の生涯でも30数点しか残ってないそうだから、とても貴重ではある。ちなみにこれが彼が37歳に描いた作品というのにはちょっとビックリ。
スペインの支配から独立し、大発展を遂げていた大航海時代のオランダを象徴する絵なのだそう。それを感じさせるアイテムがいたるところに描き込まれている。
後ろの地球儀は、オランダの重要な商圏であったインド洋海域がちゃんと正面に向けられていたり、地理学者が着ている上着は、「ヤポンス・ロック(日本の着衣)」と呼ばれるもので、裕福な市民がこぞって着ていたそうだ。壁に掲げられている地図は、ヨーロッパの海図、そして壁と床の間の幅木の代わりに使われていた流のが、フェルメールの故郷、デルフト特産の青いタイルが描かれている。
「地理学者」 |
この絵に限らず、絵画に描かれれいるものには、全てに意味が込められている。
戒めであったり、庶民とは違うという優越感を味わうためであったり。描かれている人物が、社会的にどういったステータスであるかとか、当時のオランダの国力を見せつけたり。
もちろん、絵だけから受けるイメージを大事にするのも面白いのだけど、どういった意味を込めて描かれたか?ということも紹介してもらうと、より興味深く絵を鑑賞できる気がする。
久しぶりに、絵画展に来た気がするが、とても興味深く鑑賞することができた。