2622 最高の歌声に最高のイエスを
素人のオーディション番組に参加した女性の歌が素晴らしく、Youtubeで数千万回以上のアクセスがあったというニュース。
Yahoo!ニュースでもヘッドラインは見たし、おじゃこもそんな話題をしていたが、なぜか、それほど興味が持てず、「そういうこともあるだろうな」といった感じで、実際の映像を見ていなかった。
いまさらだけど、今日急に気になって、何気なく見てみた。
登場したのは独特な風貌の“おばさん”だった。
審査員との会話はギクシャクして、ほんとにこの人、ちゃんと歌えるのだろうかと心配になってくる。日曜昼のNHKのど自慢でも、似たようなことがあるが、この場合、たいていその心配は現実になる。
しかし、この女性は違った。
ミュージカル「レ・ミゼラブル」から「夢やぶれて」を歌い始めた瞬間、会場の空気が一変。
!!
感動した。
歌声に感動するなんて、これまであっただろうか? 鳥肌が立って、なぜか涙が出てきそうになった。
彼女のこれまでの人生を思わせる選曲もよかった。
会場はスタンディングオーべーション。一気に歌い上げ、会場全体を感動の渦に巻き込んだまま、彼女は審査員のコメントも聞かずに、ステージを去ろうとする。審査員たちが「オイッ!」とツッ込むさまは、まるでお笑いみたいで、思わず吹き出してしまった。
ふと、モー娘。を輩出したテレビ東京の番組「ASAYAN」を思い起こさせる。浅草キッドがみたいな2人が舞台袖から彼女を追っている。
歌う前の審査員とのやりとりや、それを見守る会場の雰囲気と彼女の風貌。そして…。あえてそのギャップを際だたせるような歌唱力。彼女の実力は応募段階でわかってるはずで、それらは綿密に計算され、感動の結末に向かうよう、番組全体が“作られていた”とも言える。そう考えると、この番組自体、多少の“やらせ感”は否めない。
でも、そうしたことを差し引いても、歌声自体は最高に素晴らしく、演出としての許容範囲ではないかと思った。
審査員たちの評価は全員「イエス」。僕も最高の「イエス」を贈りたい。
歌は人の心を動かす。少なくとも数千万回というアクセス数がそれを証明している。