団地巡礼/石本 馨
団地巡礼 日本の生んだ奇跡の住宅様式 石本 馨 二見書房 2008-04-01 |
団地というと、僕はなぜか“廃墟”といった連想をしてしまう。
もちろん団地は“廃墟”とは別のカテゴリのはずだが、その2文字を思い出してしまうのは、小学生のころ、廃墟になった団地を探検したことがあるからか、団地というものが、すでに過去のものになりつつあるから…かもしれない。
ふとした日常会話の中で「スターハウス」の存在を知った著者は、実際にそのスターハウスを見に行ったが、その団地のスターハウスは、すでに取り壊されたあとだった。非常に悔しい思いをした著者は、それがきっかけで、団地を巡り歩くようになったのだそうだ。何がきっかけでハマるかわからない。
本書では、主に東京近辺の団地の様子を紹介している。
あくまで“巡礼”なので、事典的な記載はなく、巡った団地をフルカラーで紹介する“写真集”に近い。後半では、冒頭に書いたように廃墟ばかり…といった感じ。埼玉県のある県営団地が取り壊され、更地になるところまでを詳細に追っている。
ここに載っているのは、まさに現在進行形の団地の様子なのだ。
本書でも紹介されている赤羽台団地は、自転車でも何度か行ったことがある大規模な団地だ。ここにも先述のスターハウスがある。もうこういったタイプの団地が作られることはまずないだろうから、取り壊される前に、目に焼き付けておきたい。
なお、スターハウスの意味がわからない方は、そう呼ばれている団地の地図を拡大して、その形を見てもらえれば、理解してもらえると思う。