東京湾アクアラインの検証/久慈 力

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4846199096 東京湾アクアラインの検証
久慈 力

緑風出版 1999-07
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東京湾アクアラインが当初の計画に比べて利用が伸び悩んでいるという話を聞いて久しい。通行料金の高さなどがネックになっているというが、そもそもこれほどまでに目論見とずれてしまうのは、なにかよほどの計算ミスか、それともずれることは半ば承知の上で、別の意図があったのではないか疑ってしまうのは当然のことだ。著者は「東京湾アクアライン開通一周年記念」の式典に参加したり、本来は多くの経済的波及効果のあるはずの木更津市などを実際に訪れ、そこでの様子などをリポートしている。本書の全体的な内容としてはだいたい予想できる範囲で、役人と天下り企業、ゼネコンといった組織が、こうしたプロジェクトに群がっていて利用者、国民不在…とまぁ、ありがちな構図を検証している。できることならば、この状況をどうやって打破できるのか?という、処方箋を書いて欲しかった。そういった提案については、最後のページに10項目を挙げただけに過ぎなかったのは残念。それに、せっかく木更津駅前で、アンケートなども精力的に行ってはいるものの、たった一人で木更津駅前で集めても25人分程度にしかならず、あまり精度の高い意見は出てこないような気がする。そういう中途半端なアンケートだと、まず「結論ありき」と受け取られかねないので、かえって逆効果の時もある気がする。「東京湾アクアライン」に関するこうした本は意外と少なく着眼点はおもしろいので、ちょっともったいない感じがした。

(2005/1/23) 【★★☆☆☆】 -05/1/29更新

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Posted by ろん