2519 2008年秋のドラマ評
今クールは、やたらと医療にかかわるドラマが多い気がする。
そのうち、今回は「チーム・バチスタの栄光」と「風のガーデン」を見ることにした。
【チーム・バチスタの栄光】
ベストセラー小説として注目を集め、さらに映画にもなった「チーム・バチスタの栄光」。小説も映画も見ていないので、新鮮な感じで見始めた。
バチスタ手術とは、病気によって広がってしまった心臓の一部を切り取って縫い縮めるという手術だが、大胆さゆえか、以前からなぜか知っていたし、心臓の手術方法としては、かなりメジャーな部類にはいるだろう。
これまで完璧にバチスタ手術を成功させてきた“チーム・バチスタ”。しかし手術中の死亡事故が立て続けに4件も起きてしまう。その原因を探るべく主人公田口(伊藤淳史)が、かなり強引な厚生労働省の役人白鳥(仲村トオル)とともに、チーム・バチスタに乗り込む。
伊藤淳史の芸風?というか演技は、どこかユーモラスな感じだし、仲村トオルを見ていると、どうしても「あぶない刑事」のちょっと頼りない刑事トオルを思い出すし、術死は密室殺人ではないか?というミステリーのはずなのに、重厚な感じがしない。お笑いタレントの宮川大輔も医師のひとりとして出演しているし、ドラマそのものよりも、出演者のキャラクターに意識が向いてしまう。
でも、ドラマのテンポはいいし、今後の展開は気になってきたので、きっと面白いのだろう。
【風のガーデン】
脚本を書いた倉本聰が、新ドラマ発表会見で、テレビ局に絶望し今後はドラマの脚本を作らないと言い切ったことでも注目を集めていたドラマ。そして放送開始直前、出演していた俳優緒方拳が亡くなるという、否応なしに注目を集めた「風のガーデン」。
題字は緒方拳らしい。
主役の中井貴一は、かなり久しぶりに見たような気がする。DCカードのCMで、カッパとたぬきと共演していたころが懐かしい。ちなみに、DCカードは、クレジットカード業界の再編により、いずれUFJカードとNICOSカードとともに、統合されてしまう運命にある。時代の流れの速さを感じる。
話がずれた。
出演者はベテランの俳優ばかりなので、安心して見ていられる。最近は、こういうドラマはあまり多くない。…って言えるほどドラマは見てないけど。
このドラマのきっかけとなるのは“がん”、そして“死”だ。もう余命が長くないとわかった人間が、苦しみ、悩んでいく姿を追いながら、美しい富良野の景色とともに話が展開していくことになる。
主人公は突然自分の目の前に“死”が迫ってきたことで心境の変化が起きる。
で、ふと思った。
“死”という、手に負えない事態に直面しなければ、大きく変わることができないのだろうか?…と、ちょっと考えてしまった。
もしも(…ってドラマだからあり得ないのだけど)主人公がガンに冒されなかったとしたら? 何にも変わることなく、このままだっだ…ってこと?“死”を前にすると、何にも刃向かえない?という、ある種の“ありきたりさ”に、ちょっと考えてしまった。