2389 手に入れることができない

物思いに耽る(雑感)

名古屋では、いろいろな施設に名古屋を表す“名”をつけていることが多い。名港(名古屋港)、名駅(名古屋駅)、名城(名古屋城)…といった公共性の高い場所は、住所にまでなっている。何でそんなに略さなければならないのかは謎だが企業名でも、名鉄(名古屋鉄道)をはじめ、スジャータでおなじみの、めいらく(名古屋製酪)や、お菓子やアイスメーカーのメイトー(名糖)はかつてあった名古屋精糖という会社名に由来するらしい。

そこまで激しくなくても、たとえば、大阪でいえば“阪”、神戸は“神”、札幌だったら“札”の一文字を見れば、誰もがその都市のことだと想像することができる。方位を後ろに付けることで地域を表したり、大学名の略称などで使われたりする。

で、ふと思った。東京はどうだろうか?

東大(東京大学)とか東急(東京急行)のように“東”を使って東京を表すことがある一方、“京”を使う場合も少なくない。京葉(東京と千葉)、京浜(東京と横浜)、埼京(埼玉と東京)といった感じで。

 

東京は、そもそも「京都の東」っていうことで、方位も略称も含まれてしまっていることから、かなり略しにくい。「西東京市」とか「東東京信用金庫」という名前を聞くと、ちょっと無理がある気がしてしまう。他都市と比べて、“東”も“京”も東京を明確に表していると言い切れない。

略すというのは、略された結果残った文字だけで、きちんと意味が通じる必要がある。それだけその文字の力が試されるのだ。

東京はあらゆるモノ、ヒト、カネ、情報を集めてきたが、これだけはどう頑張っても手に入れることができない。そういった意味では、東京以外の都市の方が、とても力強く、そしてちょっと羨ましくも感じる。

Posted by ろん