他人を許せないサル/正高 信男

■社会・政治・事件,龍的図書館

4062575264 他人を許せないサル
正高 信男

講談社 2006-08-18
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本書の大部分が携帯電話に依存しきってしまった日本人(特に若い人?)における、さまざまな問題点を挙げ、サル化する日本人に警鐘を鳴らしている。

ちょっと根拠が曖昧で断定調なところもあるが、多少自分も身につまされるところもあって、ドキッとした。具体的にどこ…というのは恥ずかしいので、ここでは割愛。

興味深いなと思った箇所(p.50)を挙げてみる。(本文とはちょっと関係ない部分かもしれないけど)

最近の脳トレーニングがブームになっているのも、細木数子がもてはやされるのも、背景としては同じところにあるらしい。

人は、常に何らかの因果関係、理由付けを求めているのだそうだ。「どうしてそんな行動をしたのですか」という質問をしたときに「実は脳がそういう設計になっているのです」と答えられると、我々は「ああ、そういうものなのか」と納得してしまう。

でも実はこれは明確な答えではない。「じゃあなんで脳がそういう設計になったのか?」という質問に対する答えは容易に出るものではないからだ。脳に関する話題になってもここまで追求するケースは少ない。
「脳がそういう風に我々を働かせているんです」「霊が我々をそうさせているんです」「あんた今年の星はこうなんだよ」というのと大差がないと著者は言う。

「なんで今年の星が決められているのですか?」なんて無粋なことを聞いたら、細木数子にこっぴどくしかられそうだ。とにかくそういうものなのだ。

本人にとって大事なのは納得できるかどうか?ということに尽きる。それが科学指向があれば脳科学だし、占い指向があれば細木数子なのだ。

(★★★☆☆)