ビヨンド/マイケル・ベンソン 檜垣 嗣子
ビヨンド マイケル・ベンソン 檜垣 嗣子 新潮社 2004-12-22 |
僕が小さいときから宇宙…特に惑星が好きで、両親に買ってもらった望遠鏡で見るのは、星雲や星団ではなく、もっぱら月や惑星だったので、惑星に対する思い入れは、人よりちょっと大きいかもしれない。
こんなに迫力のある写真集を見たことがない。
この本はかなり巨大で、図書館から借りてくるのだけでも一苦労だった。見開きで、両方にページを広げると1m以上にもなる。そこに写し出された月や火星は、ものすごいインパクトだ。
それにしても、なんてきれいなんだろう。
こんな写真を、昔の人に見せられたら、かえって神様による天地創造を信じてしまうんじゃないかと思えてしまった。
写真に写っている、ひとつひとつの岩石やクレーターが、そこにあること自体なんだか不思議な気がする(…といっても僕が何を言ってるのか伝わらないと思うのだけど)、気の遠くなるような時間をかけて、その場所にあるわけで、写真で見ているその状態は、あくまで一瞬に過ぎない。おそらくいまこの瞬間でも、何にも変わらずほとんど同じ状態だろう。そして、このまま、また気の遠くなるような時間が過ぎていく。
当然だけれど、人間なんて全く及びもしない、時間の流れがそこにある。人間のあまりのちっぽけさを感じずにはいられない。月並みな言い方だけれど。
写真もさることながら、各惑星を紹介する記事や巻末の記事なども読み応えがある。けれど先述の通り、あまりにこの本自体の巨大さでちょっと気軽に読む…という感じになれず、写真をじっくり見る分には良いけど、せっかくの記事が読みにくいのは残念。まぁ仕方がないか。