鉄道記/真島 満秀
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鉄道記 真島 満秀 福音館書店 2002-07-04 |
鉄道写真の第一人者で、鉄道ジャーナル誌でもよく見かける真島満秀氏による写真集。
この人も、当然だけど、とても鉄道好きなんだろうなと思わせる。きっと長年の経験から、鉄道がもっとも美しく見える見方を知っているのだろう。
“マニア”向けというわけでは決してなく、鉄道が関わるシーンを様々な観点から写し出している。本書は以下のような章立てで構成されている。
- 人とのかかわり…
- 季節のうつりかわり…
- 夜を徹して働く…
- より早く、より強く、より快適に…
- 列車を走らせる…
- 楽しい列車の旅…
- 美しい日本の風景と…
- 歴史をとどめる風景…
- 鉄道が運んできたもの…
何気ない風景にこそ、美しさがあるのかもしれない。いつもの見慣れた電車がちょっと変わって見えるかも。
あとがきに、このようなことが書かれていた。
関ヶ原で安全のために徐行運転した新幹線「のぞみ」が遅れると、終点の博多で接続する特急「つばめ」も遅れ、さらに先の鹿児島で接続する指宿枕崎線もギリギリまで接続を取ろうとする。実に1000km以上遠い先の路線や列車と密接な関係を持っている。これは、どこか私たちの生活に似ているのではないか?という話だ。
鉄道は単にひとつの列車だけで完結するものではなく、接続する前後の列車や、鉄道を支える人たちなどさまざまな連携の上に成り立っている。さらに物理的に目に見える部分ばかりでなく、鉄道は人びとの精神的な部分にも影響しているように思える。
僕も鉄道に興味を持つものの一人だが、ページをめくるたびに、鉄道の奥深さというか、魅力を再認識できたような気がした。
鉄道好きもそうでない人も、大人も子供も満足できると思う。これだけのボリュームだから5000円を超える定価も致し方ないか…?