ビジネス特急<こだま>を走らせた男たち/福原 俊一
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ビジネス特急<こだま>を走らせた男たち 単行本 福原 俊一 JTB 2003-10-24 |
ビジネス特急「こだま」といっても新幹線のことではなく、新幹線の開通のする数年前に登場した、日本初(もしかすると世界初かもしれない)の長距離電車特急のこと。鉄道に関心のある人でないと、この存在は忘れられてしまっているような気がする。ビジネス特急「こだま」は東京-大阪間を7時間30分を6時間50分(のちに6時間30分)に短縮したに過ぎないのに対して、新幹線はその6時間30分だったものを半分以下の3時間10分(当初は4時間)にした。数字を見ると新幹線の方が偉大な功績なのではないか?という問いに対して、機関車牽引列車全盛時代において、電車列車による長距離運転でかつ狭軌で時速100kmを超えるシステムを0から作り上げたという実績と技術的な積み重ねがあったからこそ今の新幹線があるのだという筆者の言葉は、ビジネス特急「こだま」の偉大さを感じさせる。とかく新幹線ばかりが注目されがちだが、0を1にした実績があってこそ、1を100にする見通しが立つというのだ。
列車の今の速度を表示するメーターや、列車の走行地点を指し示す表示器(単純に時計やタイマーのように示していただけだったが定時で走るのだから問題なし)や、客室とデッキを仕切る扉が自動ドアになったのも、こだま型電車で初めて登場。1960年(昭和35年)8月から列車電話サービスもこだま形電車が最初だった。ちなみに、その列車電話サービスも携帯電話の普及に伴い、今年2004年6月をもって終了するという。 (2004/5/9)
【★★★★★】 -04/05/09更新