1722 見ただけではわからないだけに

定点観察

暗かったので看板だけ…
暗かったので看板だけ…

それにしてもまたずいぶん豪快なことをしてしまったものだ。姉歯建築設計事務所による構造計算書の偽造問題は、日を追うごとに問題の深刻さが明らかになってきている。中には地震が無くても建物自身の重みに耐えられず自壊してしまうおそれのあるマンションすらあるらしい。

これほど大変な問題を引き起こしても、問題を引き起こした当事者は、どこか飄々としていて、どこか他人事のような話っぷりににも驚いたけれど、そもそも検査機関がなんで見つけられないのかという点(それを見つけるのが仕事でしょ?)や、こうした民間検査会社にお墨付きを与えてしまう国土交通省には問題ないのか?といったツッコミどころ満載の事件だ。

今回は事故が起きる前に発覚したからいいものの(良くないけど)、実際に事故が起きてからでは取り返しのつかないことになる。一級建築士でしょ?自分が設計した建物が、これほど弱い造りになっていることに気付かなかったのか不思議でしょうがない。気付かないとは思えないんだけどな。

入口にはお詫びの文書
入口にはお詫びの文書

ほんのわずかな納期短縮と、わずかな利益を得るための犯罪。冷静に考えればこれほど割の合わない犯罪もないと思うけど、建築士が言う通り感覚が麻痺していたのだろう。

今日所用で出掛けた先の近くに、構造計算書の偽造で耐震性に問題があるとされたホテルがあったので、ちょっと見てきた。問題発覚以降営業を停止しているため、ひっそりとしていた。看板やフロントの明かりが消されていたが、奥の事務所らしき部屋の明かりだけがついていた。ホテルにしてみたらとんだとばっちりだ。

当然だけれど、ホテルの外観はまったく他の建物と変わるところなどなかった。欠陥があると言われたってわからない。地震などで実際に建物に目に見える問題が生じてくるまで、誰も気付かないのだ。できあがった建物を、外から見ただけではわからないだけに悪質で、これほどひどい話もない。依頼する側は信用するしかないのだから、その信頼を裏切る行為は許されるものではない。

Posted by ろん