7083 企画展「自然という書物 15~19世紀のナチュラルヒストリー&アート」
町田市立国際版画美術館で開催されている企画展「自然という書物 15~19世紀のナチュラルヒストリー&アート」を鑑賞。


明日が最終日ということからか観覧者が多めだった。
「想像と現実のあわい―15、16世紀」「もっと近くで、さらに遠くへ―17、18世紀」「世界を分け、腑分け、分け入る―18、19世紀」「デザイン、ピクチャレスク、ファンタジー」に分かれているが、最後の章以外は、時系列に展示されていて、あまり章立てを意識しないで鑑賞した感じ。

まず15世紀から16世紀のころは木版画が中心で、よくいえば“素朴”、ありていにいえば“単純”な感じの作品が並ぶ。
かつては、キリスト教の教えがすべての中心だったから、こうした木版画も影響を受けるのが必然となる。
館内の写真撮影は、各コーナーでにそれぞれ1、2カ所ほどあってありがたい。
最初の写真撮影可能な作品は「年代記」。


ここで「手」だけ登場するのは神様で、まさに“神”がこの世を作ったという感じになっているところが興味深い。
絵のなかに、いろいろな意味を込めるというのは、宗教画の特徴のひとつだが、イソップ寓話などにも通じるものがあるのかもしれない。


キリスト教の教えを忠実に守りつつ、科学と両立させようとするために、いろいろと無理している感じおもしろい。


実在する動物と架空の動物が混じった「博物誌」が作られるのは、現実世界と目に見えない“宗教世界”が隣り合わせだったと考えると、決して不自然でない気もしてくる。

自然物本来のすがたを失うことなく紙面や壁面を彩ったウィリアム・モリスのことや、冒頭にあった「神の手」が登場するアルフォンス・ミュシャなど、自然をモチーフにした作品の系譜がわかって楽しい。
非常に展示作品が多かったし、ここで紹介した以外にも、比較的写真撮影可能な作品も多かったこともあって、とても楽しめた企画展だった。
だいぶ疲れてしまったが、続いて、常設展「日本の自然と多色摺木版の世界」も観に行く。