禁断の植物園/船山 信次

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禁断の植物園
船山 信次
山と渓谷社 (2022/3/2)

健康食品や薬、洗剤など、人が触れる機会の多い商品が、自然とか天然由来とか、植物由来いって身体に優しいことをアピールするケースは多々ある。

それを見るたびに、猛毒も持っていたり、中毒を引き起こす植物などいくらでもあるのになぁ…と思ってしまう。

本書でも詳しく紹介されていたが、アヘン、ヘロイン、大麻、コカイン、LSDなど、多くの麻薬は、もともとは植物が由来であることを考えたら、植物だからと言って、身体に優しいわけでは、決してない。

でも、古来より人々は、さまざまな植物とともに生きてきたし、特徴を見つけて利用してきた。

そうした植物を一同に集めた”仮想植物園”を見立てて、その園長が、みずから植物たち36種類を紹介する…という本だ。

第1章「誘惑のアーケード」として、さまざまな麻薬となる植物の紹介、第2章「秘密の薬草畑」として毒草とと見られつつも薬草としての効能もある植物の紹介、第3章「死のプロムナード」として命にかかわる恐ろしい毒をもつ植物の紹介、第4章「謎めいた花園」では神秘的な言い伝えや由来など、ちょっと変わった植物を紹介している。

「アーケードを進んだところに…」とか「ここに咲いているのは…」といった感じで、本当にあるように説明を始めているが、あくまで”仮想植物園”なので存在はしない。

それはそれで仕方がないのだけど、肝心の植物の写真は皆無で、その植物をデザインしたアイコンのような挿絵が1枚だけ添えられているだけだ。

だから、いったいどんな植物なのか、いまいち理解が難しく、実際の植物の様子を確認するためには、スマホが手放せないのは、想像力を働かせて…という意図的なことなのだろうか?

Posted by ろん