6628 鉄道の”有料イベント”
コロナ禍で中止になっていた、鉄道関連の撮影会などのイベントが、次々と開催されるようになった。
しかし、これは元に戻ったというわけではなく、コロナ禍前とはまったく違った状況になっている。
かつては多くが無料だったが、いまではほぼすべてが有料なのだ。
まぁたしかに、こうしたイベントを無料で開かなければならない理由なんてないはずで、手間と時間をかけて開催するのだから、参加者に相応の費用と利益分を請求することは何の問題もない。
ただ、これまで実績もなく、やろうと思ってもできなかったところに、新型コロナウィルス感染症対策という名目は、鉄道会社にとって、まさに”渡りに船”、“錦の御旗”となったとは言えるだろう。
ただ、さまざまな特典を付けていたり、無料ではできなかった内容になっているとはいえ、かなりの高額なものばかりとなってくると、その”副作用”が気になってくる。
イベント自体が収益を生むことはなかったが、これまで無料で開催してきたのは、多くの人たちに鉄道をより身近に感じる機会を増やすためだったはずだ。
実際、鉄道好きを公言する有名人も増え、趣味としても社会に認知されてきたと思う。
鉄道について、”趣味”とは言わずとも、軽く興味を持ってくれるカジュアルな鉄道ファンが増えたという実感もある。
それが、有料イベントの増加によって、鉄道と距離ができて、鉄道趣味がごく一部の人たちだけのものになっていく可能性はないだろうか。
かつてのように、”マニア”だけの世界に戻ってしまうのか…長い目で見たとき、鉄道趣味はどう変わっていくのだろう?
もうずいぶん前だが、京浜東北線の浦和電車区(現在のさいたま車両センター)で開催されたイベントは、京浜東北線で走っていたすべての形式が一同に集まった写真が撮れたし、制服を着せてもらって運転席で写真も撮れた。
もちろん無料で、予約なんかも不要だったが、もしまた当時と同じように開催したら、収拾がつかないほど人が集まってしまうことは容易に想像できる。
鉄道ファンのすそ野が少し広がりすぎたのだろうか。
そう考えると、鉄道会社は有料イベントで収益につなげるとともに、少し鎮静化させるのもやむを得ないのかな…とも思う。