タグボートのしごと/「タグボートのしごと」編集委員会
- タグボートのしごとーその概要と活躍の姿ー
- 「タグボートのしごと」編集委員会
- 成山堂書店 (2021/8/7)
ふと、手に取った本だが、そういえば「タグボート」って、ふだんほとんど意識しない船だよなぁ…とあらためて思った。
本書は、タグボートの概要や仕事、構造、そこで働く人たちの生活など、実際にどういったものなのか、かなり詳細に解説している。
こんなにタグボートのことを意識したのは、生まれて初めてかもしれない。
タグボートの主な仕事として、安全かつ円滑に岸壁に離着岸させる「ハーバー作業」と大型船の周囲を警戒しながら安全航行できるようにする「エスコート業務」がある。
さまざまな船が物流を支えているが、あらためて実感したのは、タグボートがなければ、そうした物流は一切止まってしまう。
さらには、はしけなどの牽引や、場合や設備によっては消火活動なども行う場合もあるそうだ。
タグボートで働く人の日々の生活やエピソードなども興味深い。
基本的な労働時間は8時半〜16時半までの7時間で、12時から13時までの1時間を休憩時間となっているそうだ。
ただし、早朝に入港する船がある場合は、それにしたがうことになるという。
また、タグボートの仕事に携わる人のインタビューで、タグボートという縁の下の力持ちという自負は実感しているということと、「給与もまずまずのレベルですし、休日もきちんと取得できるので、労働環境はとてもよく整ってると思います」なんてコメントもあった。
タグボートは、船がこの世にある限り、絶対になくなることはないと思うが、ずっとこのまま変わらず…ということもなさそうだ。
自動車や鉄道と同じような、エンジンとバッテリーのハイブリッド機構の導入や、燃料に重油ではなく、環境にやさしいLNG(液化天然ガス)を用いたものも登場するなど、タグボートの世界も変わっていくようだ。