限界破りの鉄道車両/小島 英俊
- 限界破りの鉄道車両 (交通新聞社新書143) (日本語) 新書
- 小島 英俊
- 交通新聞社 (2020/6/15)
試作鉄道車両を見ると、なぜかワクワクしてくる。
以前似たようなコンセプトのムック本を買ったことがあって、購入してから15年経つが、いまでも大事に持っている。
試作車の、ふだんとは違う見慣れない姿は、新型車両の登場と同じといえば同じだが、全然違う。
新型車両の姿が研ぎ澄まされた“答え”だとすれば、試作車は、その答えを導き出すための“過程”であり、その目的から荒削りで無骨なたたずまいが随所に見られるところがいい。
本書では、蒸気機関車、ディーゼルカー、電車はもちろん、さまざまな試作車が紹介されている。
鉄道車両は、動かすための燃料が、石炭、軽油、電気による違いもあれば、ボイラーとシリンダーによる駆動、エンジンの回転をそのまま駆動に繋がるのもあれば、それを発電してその電気でモーターを駆動させるものもある。もちろん、電気からモーターを動かすものもある。
エンジンもディーゼルばかりでなく、ガスタービンにしたり、果ては原子力…なんてのも構想としてはあった。
電気とモーターという組み合わせにしても、交流と直流、電気をモーターへどう伝えるかといった組み合わせは、途方もない組み合わせがある。
かつては難しかったことが、技術革新によって実現可能になることもある。
さまざまな紆余曲折を経て現在の鉄道ができあがっていくわけだが、
その過程はとてもおもしろい。
いまは、もうほとんど出来上がってしまっているという点では、ちょっとつまらない。
致し方ないところではあるが、かなり技術寄りの解説が多く、平易な言葉で書かれているから、読みやすいが、ちょっと難しいと感じてしまうところもあった。
あと、もう少し、大きめの写真を載せてくれるとよかったな…というのが正直な印象だった。
ただ、前述の通り、以前買ったムック本は、けっこう写真が載っていて、ことらのこちらの写真を見ながら、本書を読んだので、より楽しめた。