鉄道の音/向谷 実
鉄道の音 (アスキー新書)
アスキー・メディアワークス 2009-03-10 |
鉄道趣味は、かなり奥深い世界であることは、最近のブームによっても、よく知られるようになってきたと思う。
いわゆる、“乗り鉄”、“撮り鉄”…なんていうジャンルもあるくらいだ。さらに、“音鉄”や“録り鉄”と言われるジャンルもあってインターネットの世界では散見されるものの、書籍ではなかなか取り上げられることはなかったように思う。
テレビのタモリ倶楽部でも有名な、本書の著者向山実は、ミュージシャンらしく鉄道の音に対しては、こだわりがあるよう。そもそも、ミュージシャンになったのも、鉄道の音が影響したと断言してしまうくらいだから、相当なものだ。
実は…僕も、鉄道の音にはそれなりにこだわりがあり、乗ったときはもちろん、さまざまな鉄道に関する音には敏感で、つねに耳をそばだてていると言っても過言ではない。何度か聞いていれば、アナウンスを再現することだってできる。
それだけに、車内放送による広告は耳障りに感じてしまうんだけど。
話がずれた。
たしかに、とても興味深いジャンルの本ではある。しかし、190ページ中、本文は、なんと100ページにも満たないのだ。
さらに本文の半分近くが著者の半生を振り返った話になっているため、タイトル通りの“鉄道の音”に関する内容は、実は50ページほどしかないのは、何とも言えない気分。しかも、これらの核心部分については、あるサイトで紹介されていることもあって、何とも言えない気分。ちなみに、本書後半の半分以上(100ページあまり)を占めるのが、車内アナウンスの喚呼集と自らが作曲した京阪電車の発車メロディの解説ページだ。
これまでにないジャンルの本であるだけに、期待が大きすぎたのかもしれず、読後感はちょっと残念。