5267 野生展
東京ミッドタウンの、21_21 DESIGNSITEで開かれる企画展は、興味を持ってついて行ける場合と、難解でついて行けない場合のどちらか…ということが多い。
今回の企画展は、後者だ。
「野生展」という名前からして、とっつきにくさを感じずにはいられない。
でも「野生的なものは繊細で、緻密で、優美。あらゆる生命の中に、その優美で高貴なものが埋め込まれている。野生的なものはエレガントである」
という本展ディレクターの考え自体は、なんとなく頭に入ってくる。
しかし、その延長線上に、「かわいい」表現を探求する日本人の感性があり、出産・豊穣・再生といった野生の本質に結びついている…というのは、かなりの応用というか、相当思いを馳せていかないと、けっこうしんどい。
その結果、土偶と、ケロちゃんやキティちゃんが並ぶことになる。
だから、何も考えずに、ただ展示を眺めてるだけでは、なんの理解もできずに通り過ぎてしまいかねない。
途中、上から落ちる水滴を年輪に見立てているインスタレーションがあった。
これも”野生”なのだけど、見てる人の多くが気にしたのは、そこではなく、この水滴が、具体的にどういった仕掛けで落とされているのか?…というところだった。
誰もが上をじっと見ている姿は、なんとも面白かった。
やはり、じっと上を眺めていた、自分よりかなり若いお姉さんが、思わず僕に、
「わかりますか?」
…と聞いてきてしまうくらいだった。
正直、観覧者の多くが置いてけぼりを食らった感じではあったが、たまには、こうした思いもよらない発想に出会うのも悪くないとも思った。