4577 いまさらアラサーエアコンを振り返る
古い写真を見返していると、地下鉄の車内で撮ったある広告を見つけた。
アラサーエアコン…
当時「アラサー」という言葉を使ったセンスには、けっこう疑問の声が挙がっていたこともあり、早々に見掛けなくなった。
ふと、気になって、パナソニックのサイトを検索てみたが、たった20件ちょっと程度しか出てこなかった。
ことごとく消えている感じで、もちろん、アラサーエアコンなんて言葉も出てこなかった。
これは、ある種の「黒歴史」なのだろうか?
残されたニュースリリースを読んでみると、興味深いことがわかった。
当時から、なぜ「アラサー」を前面に押し出すことになったんだろう?と不思議だったのだけど、そもそも、当初「アラサー」の扱いはそれほど大きいものではなかったのだ。
まず、アラサーがが登場するのは、2009年10月26日のニュースリリース。
アラサー(Around30)世代に新提案
シングル向け家電「NIGHT COLORシリーズ」 6製品を発売
夜の家事をサポートする機能とこだわりのシンプルデザイン
これを見ると分かるように、30歳前後のシングル世帯をターゲットにした生活家電を「NIGHT COLORシリーズ」として発売したのが始まりだったようだ。
たしかに、この段階から…(アラサー:Around30)…という表現が入ってはいるものの、あくまで補足説明的な扱いでしかかった。
その後、2010年8月3日のニュースリリースになると変化が現れる。
F-VXF45のコモンブラック色(-CK)については、「「NIGHT COLORシリーズ」です。
アラサー(Around30)世代のライフスタイルにマッチしたカラー・デザインです。
…とあった。シングルという文字が抜けている。
そして、2013年8月20日のニュースリリースには…
アラサー向け家電シリーズ「NIGHT COLORシリーズ」のラインナップ製品です。
と、完全に、アラサー向け家電シリーズと言い切ってしまっている。
シングル世帯というターゲットが抜けて、30歳前後というところだけが残ってしまったために、アラサーエアコンというものが生まれてしまった…ように見える。
つまり、アラサー=30歳台 というキーワードだけを取って、あくまで、30歳台向けエアコン という意味で使ってしまったのではないか? という予想が付く。
家庭を持ち、子どもがひとり、ペット一匹いるアラサー世代なんて、もはやレアな存在のように思える。
現実からかけ離れた、家族像に制作者が気が付かなかったところに、誰もが強烈な違和感を覚えたのだろうと思う。
まぁ、いずれにしても、これはパナソニックにとっての、黒歴史だろうなぁ。