4347 パーソナルスペース
通勤電車で見掛ける風景や体験することは、ほとんど同じことの繰り返しだ。
それだけに、ちょっとでも違うことがあると、妙に気になってしまう。
昨日の朝は、妙に混雑していた。
駅に着くたびに、思った以上に奥まで押し込まれた。
すると押し込まれた真正面に、ふさふさするものが当たったのだ。
混雑で、身体を動かす自由がないので、ずっと毛が僕の顔を撫で続けた。
相手は向こうを向いているから、こちらの状況はわからないようだ。
通勤電車という特殊な環境だから、パーソナルスペース(他人に近づかれると不快に感じる空間)が変化するとは言え、ちょっと困った。
でも、いくら特殊な条件とはいえ、これはダメだ…と思うことが、まれにある。
混雑した車内では、できるだけ向かい合わないように、誰もが意識して立つようにしているものだ。
先述のコートの場合でも、僕に背中を向けたために、起きたこと…とも言える。
しかし、なかには、どういうわけか、真正面に向かい合ったままの人がいるのだ。
身長差があればまだいいが、ほとんど同じ身長の…ましてや同性が真正面に向かい合っている…。
できることなら、自分から動いて位置を変えたいが、混雑のために動けず…一方、相手を見ると多少余裕がありそうで、移動もできそうなのに、移送する気配がない。
もはや「特別な関係でもあるのではないか?」と思われてしまうくらいの距離。
最高レベルの、パーソナルスペースに入り込んだ状態に、僕はいたたまれなくなってくるのに、相手の男性は、まったく動じないのだ。
まるで、戸惑ってる僕の方が「変」だと思ってしまうくらい堂々としている。
人によって、パーソナルスペースが大きく異なるんだなぁ…と思いつつ、「これって、何の罰ゲームだよ」…と思うのだった。