4120 八百屋で感じた価値観の相違
もうずいぶん前の話だ。
夫婦で営んでいる小さな八百屋でのできごと。
その八百屋で買い物をするとき、特に気を付けなければならないことがあった。
それは、けっして、新鮮な状態でないことが少なくなかったということだ。
ぶどうやプチトマトなどの裏を見ると、熟れすぎて割れていたり、割れた部分にカビが生えたり…。
当然、そういった商品は避けて買う。
ある日、ほとんどの商品の状態が悪く、はっきり言って買える商品がないときがあった。
お店の人は、いい人って感じだったこともあり、カビの生えたトマトのことを責めるのは、なんとなく気が引けていた。
しかし、ここは意を決して…この状況を伝えた。
すると、奥の冷蔵庫から、状態の良い商品を持ってきて…
「これなら大丈夫!」
・・・
僕は、別に潔癖性でもないし、多少悪くなってるくらい、それほど気にしないのだけど、全部が腐っている状態でのできごとだったわけで、根本的な部分で価値観が違っていることに愕然とさせられたのだ。
あらためて考えてみると、実は、最終的に「新鮮な商品を買う」というゴールは同じだ。
もし、僕が気づかないまま、状態の悪い商品をレジに持って行っても、おそらく新しい商品を出してくれただろう。
でも…けれど何かが違う。
八百屋で売られている商品を売買するということにも、考え方というか、価値観があって、その違いを見せつけられた気がした。
そんな出来事があってから、自然と足が遠のいた。