3819 上野下アパート

建築・都市

関東大震災復興住宅として建てられた同潤会アパートで、最後まで残っていた上野下(うえのした)アパートが、来月取り壊される。

以前から“そろそろ”ということはわかっていたのに、報道されるまで、ついうっかり行きそびれ、これまでちゃんと見ることがなかったのが本当に悔やまれる。

「いつ行くの?」

「いまでしょ?」(もう言いません)

ということで、思いつきで、会社帰りに寄ってみることにした。

場所は、銀座線稲荷町駅近く。上野駅からも歩ける距離だ。

[map addr=" 東京都台東区東上野5-4-3″]
「もしかして」…とは思ったが、僕と同じように写真を撮りまくっている人、多数。僕は、こうしてブログにアップすることが、写真を撮るかなりの目的だけど、ここで撮ってる皆さんも同じなのかな?

建物の正面には、ここに新しい建物を建てるという建築計画のお知らせが掲げられ、もうカウントダウンに入ったことを示していた。

まだ住んでいる人もいるはずだが、建物はひっそりとしており、入口には、立入禁止のテープが張られていた。

ちょっとおどろおどろしいが、やはり、入り込んでしまう人も多いのだろう。

もうだいぶ日が落ちて薄暗くなってきたが、窓に明かりが付くことはなかった。

一部の窓が明るかったようだし、敷地内で立ち話をしている人もいたが、もはや廃墟同然と言った雰囲気で、建物を見ていたら、痛々しく寂しい気分になった。

ひととおり、写真を撮ったあと、上野下アパート近くを歩いてみる。

アパートの裏手には銭湯、ちょっと歩いたところに下谷神社があった。

とりあえず、ひととおり見学できたと思って撮った写真を確認したら、やたらとピンボケが多く、さらにデジカメの解像度の調整を誤っていたことも判明した。

…ということで。

 

翌朝…またやって来てしまった。

自宅を出る時間を30分ほど早めて、ふだんとは違った経路をたどり、通勤ラッシュで混雑する上野駅に降り立つ。

しばらく歩いて、十数時間ぶりの上野下アパートへ。

 

時刻は8時過ぎだが、もうこの時間から写真を撮る人たちがひっきりなしにやって来ていた。

昨日は意識しなかったが、3つある門のうち、表札のひとつがなくなっていた。残されたネジは錆びていたので、なくなったのは以前のことだろうけど、ほかの2つは大丈夫かな?

朝日に照らされる上野下アパートは、昨日とは打って変わって、なんとなく生気を取り戻したように見えた。

アパートを取り囲む緑も映える。

中には入れないので外観からだけだけど、見ていると、勝手にいろんなドラマを思い起こさせられる。

窓辺におかれた虫かごが妙に印象的だった。

つい時間を忘れて、眺めたり写真を撮ったりしてしまい、出社時間に間に合わなくなりそうだった。

 

いろいろと検討した結果なのだろうけど、見れば見るほど、取り壊しは惜しいと思った。

 

同潤会

Posted by ろん