13歳からの拉致問題/蓮池 透

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蓮池 透
かもがわ出版
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連日、北朝鮮の弾道ミサイル発射に関するニュースが伝えられている。 この状況下では、どうにも落としどころが見えてこない。

そして日本と北朝鮮とのあいだで、もっとも大きな問題は、やはり拉致問題と言っていいだろう。

その存在は広く知られているが、一部の拉致被害者が帰国したのは、2002年(平成14年)10月だったそうだから、それから、もう10年以上経つ。

会社で、号外を持って帰ってきた同僚がいて、みんなで話題にしたのを思い出す。その後も、しばらくは、大騒ぎだったことについて、記事にしたこともある。

それくらい時間が経つと、当時のニュースを見聞きした自分たちですら、この問題の詳細や背景など、よくわからなくなるし、ましてや、若い人たちにしたら、そもそも、この問題自体認識がない可能性もある。

この本は、タイトルのとおり、中学生以上の若い人たちにも拉致問題を知ってもらうために書かれたようだ。

著者は、拉致被害者の兄で、現在も拉致被害者の家族会に所属しているのかと思ったら、除名されたという。

家族会は、経済制裁をはじめ北朝鮮に対して強硬派路線を取り、首相や政府の姿勢を批判する。一方、著者は、平和的な話し合いによって解決の糸口を見つけようという考えらしい。

除名はその齟齬によるものと書かれていたが、 除名とは穏やかではない。

このあたりを、つい、ネットでいろいろ調べてみると、これまたさまざまな話が出てきてしまって収拾が付かなくなってしまった。

でも、間違いなく言えるのは、北朝鮮が拉致しなければ、こんなことにはならなかったということだ。

被害者はもちろん、その家族の人生を変えてしまった北朝鮮の責任はきわめて重い。そして、この問題を解決させるため、国は責任を果たすべきだし、国民も“当事者”の意識を持つべきだと思った。自分が拉致されないという保証はどこにもないのだから。

拉致被害者やその家族の書かれた本を読んだのは初めてだったこともあって、知らなかったことがたくさんあった。

中学生にはちょっと難しいかな…とも思ったが、若いうちから関心を持ち議論を深めることはとても大事なことなので、かなりデリケートな問題ではあるけど、学校でもきちんと取り上げてほしい問題だと思った。

Posted by ろん