人はなぜストーカーになるのか/岩下 久美

■社会・政治・事件,龍的図書館

4093860165 人はなぜストーカーになるのか
岩下 久美子

小学館 1997-07
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 ストーカーという言葉が、”日本語”になったのは、いつくらいだっただろうか?本書にも書かれているが、この言葉が日本で認知されるようになった頃は、何でもかんでも「ストーカー」という言葉があふれ、まるで流行語のような使われ方をしていたように記憶している。ストーカーの被害にあった側と、ストーカーとなってしまった側の立場から、その具体的な行動や思いをたどることで、こういった問題がごくごく身近なところで起きる可能性があるのだと実感させられる。
1991年に放送された「101回目のプロポーズ」の武田鉄矢や、映画「卒業」の結婚式のその場に花嫁を略奪しに来るシーンなんてのも、一歩間違えればストーカー的思考で、「諦めずに追いかければ必ず思いは遂げられる」という誤った幻想を植え付けてしまったメディアの弊害は小さくない。ただこれは「本当に人の嫌がることはしない」という、基本的なモラルがあるという前提の上で成り立っているはずで、単純に自分のやりたいことであれば、他人に迷惑を掛けることは仕方がないということとは全く違うはずだ。「コミュニケーション能力の低下」「傷つきたくない症候群」「孤独恐怖」というキーワードがストーカーを語る上で重要らしい。「ストーカー」に関して、まずその全貌を知るには最適の本だと思う。
(2004/11/01) 【★★★★☆】 -04/11/14更新