ユニクロ症候群/小島 健輔

■鉄道, 龍的図書館

ユニクロ症候群 ユニクロ症候群
小島 健輔

東洋経済新報社 2010-07-30
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ユニクロと言えば、もはや知らない者はいない、我が国を代表するカジュアルウェアブランドだ。

十数年前、実家の近くの国道沿いに店があったが、そのころは、当然ながら、ここまで流行るとは思ってもみなかった。

本書は、“はじめに”にもあるように、礼讃本でも、ノウハウ本でも、経営分析書でも、経営哲学研究本でもない。
有り体に言えば、ユニクロに対して批判的な立場で書かれている。もう少し正確に言えば、ユニクロに問題があるということではなく、日本経済の衰退と若者文化の嗜好の変化と、それを的確に捉えたユニクロの戦略について書かれている。

ユニクロ成長の軌跡を追いつつ、GAP、H&M、フォーエバー21など、日本でも話題になった企業とも比較し、ファッションビジネス全体の歴史を紐解いていく。

ユニクロ躍進成功してきた時期は、いわゆる“失われた20年”ピッタリ一致する。

本書の見出しにある「退化する消費文明」、「没落する日本」といった項目を見れば、ユニクロ症候群は、実は日本全体に起きている問題なのかもしれないと感じさせる。

大学生の学力低下が叫ばれて久しいが、知的水準が低下した“幼稚園児的”若者が社会に増えつつある。彼らが消費を支えるようになると、日本の企業が彼らに迎合することになる。

「安ければ品質はそこそこでいい」

これは、決して悪い考えではないし、ある意味賢い考え方なのかもしれない。しかし、しかし日本の需要がその方向ばかりとなってしまうことで、日本の社会も消費も停滞することとなった。その結果、グローバル競争から脱落しつつある…と指摘する。

ユニクロは、こうした“時流”に乗り、躍進したが、それ以外の企業が、こうした状況下で活路を見いだすのは容易ではない。

衣料品業界はもとより、日本はいったいどうなってしまうんだろう? 読後感はそんな感じだった。